超不振の巨人がついに動いた。GMの更迭だ。ペナント奪回は不可能の状態。まさに緊急事態である。
堤GMの責任は補強の失敗といわれる。30億補強の成果が出ておらず、それが現在の姿というわけである。
1割に満たない勝率
.083。この数字は何か。2017年6月11日までの交流戦の巨人の勝率だ。1勝11敗、12球団の最下位の実態である。
「巨人を優勝候補に挙げて恥ずかしい」
開幕前の予想で巨人優勝を唱えた評論家の先生方が慌てている。その時点でのセ・リーグ順位は24勝35敗、首位から12.5ゲーム差の5位。予想は外れるものだが、あまりにもかけ離れていて、言い訳もできない、とおっしゃる。
9日からの日本ハムとの3連戦(札幌)は苦々しい思いとの戦いだった。とりわけ第3戦は象徴的で、かつて巨人に在籍した投打の選手にやられた。
先発の村田(大体大)は、原監督時代にドラフト1位指名で獲得した投手。ところが3シーズンでクビ。一軍登板はなしだった。村田は11年から米球界に渡り、15年にインディアンスに昇格。日本ハムは今季からである。この村田に5イニング1点に抑えられた。
もう一人は打者の大田だ。やはり元1位。松井秀喜の後継者、と期待されたが、日本ハムに放出された。この3連戦では2本塁打と打ちまくり、強烈な恩返しをした。
先発9人のうち生え抜きは2人のみ
球団新記録の連敗を13で脱したものの、とても優勝を望める状態にない。
「チーム作りに問題がある」
こんな指摘がはっきりと言われている。これまで大金を投入して他球団の主力を獲得したために生え抜きが育っていない、ということなのである。
日本ハムとの第3戦の先発メンバーを見て驚く。
中堅・陽(日本ハム)、左翼・石川(日本ハム)、三塁・マギー(大リーグ)、一塁・村田(横浜)、遊撃・クルーズ(ロッテ)、捕手・実松(日本ハム)
生え抜きは4番の指名打者・阿部と6番の右翼・長野の2人だけ。7人も外様というのは珍しい。
以前、二軍指導者から聞いたことがある。
「上達した選手を推薦しようとすると、同じポジションの大物をFAで他球団から取る。二軍選手は夢も希望もなくなってしまう」
よく巨人は、優勝は至上命令、と言う。だから自軍で育てるより実力者を取ってしまえ、となるのだ。
堤GMは高橋監督の慶大の先輩。高橋の身代わりという感じである。Bクラスでシーズンを終わることになると、監督交代も浮上するだろう。連敗中、涙を流して巨人復活を訴えたファンをどう納得させられるか。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)