「米国の食事」といえば「体に悪い」 どっこい鉄分は最優等生だった

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【たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学】(テレビ朝日系)2017年6月6日放送
「スーパー栄養素『鉄分』」

   米国の食事は肉が中心で油こってり、ボリュームたっぷりなメニューが頭に浮かぶ。つい「体に悪そう」と思ってしまうかもしれない。

   だが、実は米国人が日々食べている食材から学ぶ点がある。日本人が不足している、鉄分の摂取法だ。

  • 毎朝の食卓に秘密が(写真はイメージ)
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磁石に吸い寄せられるほど鉄分たっぷり食材

   世界保健機関(WHO)によると、「鉄分で貧血防止ができている国」ランキングで日本は54位と、芳しくない。これに対して、堂々の1位だったのが米国だ。

   血液専門医で、江戸川病院腫瘍血液内科副部長の明星智洋氏は、鉄分が「人間の体内でも極めて重要な働きをしている」と指摘した。全身に酸素を運ぶ赤血球のなかに、ヘモグロビンという成分があるが、これは鉄とたんぱく質でできている。鉄は酸素とくっつきやすい性質があり、鉄が少ないと十分な量の酸素を全身に運ぶことができなくなる。

   頭に酸素が不足すると頭痛やめまい、肩で不足していると肩こり、手足の末端に届いていないと冷え症といったように、体のあちこちに起こる不調の原因となるのだ。

   番組は「鉄分大国」の米国で、一般家庭の食生活を調査した。ロサンゼルス在住の5人家族を訪れると、ちょうど朝食の準備中だった。食パンのトーストに目玉焼き、ソーセージ、オレンジと、特に変わった食材は見当たらない。

   家族全員が食卓に集まったところでもう1品、出てきた。シリアルだ。毎朝欠かさず食べているという。器に入れて、牛乳を注ぐ。やはり日本でも手に入りそうだが、ここに秘密があった。別の器に水を入れ、シリアルを数粒浮かべた後で磁石を近づけた。するとシリアルが吸い寄せられた。鉄分たっぷりだったのだ。商品パッケージに印刷されている栄養表示を見ると、この製品の場合は、米食品医薬品局(FDA)が推奨する1日の鉄分摂取量を100%満たしていた。

野菜や海藻の鉄分は体に吸収されにくい

   次に番組スタッフが、米国のスーパーで食材をチェック。シリアルの棚には数多くの種類が並ぶ。商品によって割合は異なるが、どれも鉄分が豊富に含まれていた。

   シリアルだけではない。食パンやフランスパン、ピザ、さらにはファストフードの代名詞といえるハンバーガーやホットドックにまで、鉄分が入っている。ここまで徹底しているのは、米国の歴史が関係している。1940年代に米国民の栄養状態が悪化し、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が状況改善のために着目したのが鉄分を主とする栄養素だった。主食のパンの原料に使われる小麦粉に鉄分を入れることを法律で義務化したのだ。なお日本では、食品への鉄分の添加は義務付けられていない。

   鉄分には、こんな「落とし穴」もある。ホウレンソウやひじき、切り干し大根、小松菜といった野菜や海藻に多く含まれているのだが、実はこうした鉄分は体に吸収されにくい「非ヘム鉄」だ。しかも、日本人が食事から摂取する鉄の85%は非ヘム鉄だという。

   一方で牛肉やマグロの赤身、鶏や豚のレバーなど動物や魚に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれ、体に吸収されやすい。こと鉄分の摂取については「肉食系」の方がよさそうだ。

   さらに食材以外からの摂取法もある。番組が勧めたのは、鉄器や鉄のフライパンといった調理器具の使用だ。これらでみそ汁や焼きそばをつくったところ、鉄でない器具で作ったものと比べて鉄分の量が多かった。

   体に必要な成分ではあるが、過剰摂取は体に悪影響を及ぼす恐れがあるので気をつけたい。

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