【健康カプセル ゲンキの時間】(TBS系)2017年6月11日放送
下がり鎖骨と肩こりの救世主「ボート漕ぎ体操」
長い間、肩こりの原因は「ストレートネック」とされてきた。スマートフォンの見すぎなどで、首の骨が真っ直ぐになり、S字カーブにならなくなることだ。
ところが最近、ストレートネックは肩こりの原因にはならないことがわかった。代わって肩こりの原因として注目されているのが「下がり鎖骨」だ。「下がり鎖骨」とはいったい何か、そして頑固な肩こりをたった1分で改善できる体操を紹介する。
腕のしびれ、めまい、歩行障害、うつになる心配も
番組では冒頭、長年頑固な肩こりに悩んできた40~60代の男女3人が登場した。そして、肩こり治療のエキスパート、東京医科大学病院整形外科の遠藤健司講師の診察を受けた。遠藤講師は、背中や肩などの後ろ側を見ずに、いきなり3人の服の前をはだけ、鎖骨を触ってチェックする。先生によると肩こりを診察する時には鎖骨のバランスを見るそうだ。
遠藤講師「う~む、皆さん、鎖骨が下がっていますね」
遠藤講師によると、体の両側にある鎖骨は平行になっているわけではなく、一般的には「V」字の形になっている。ところが、鎖骨の両端が下がって平らになってしまった状態を「下がり鎖骨」という。実際、3人のレントゲン写真では平行になっていた。下がり鎖骨になると、なで肩になり、鎖骨に付いている筋肉が引っ張られ緊張した状態になる。また、鎖骨と肋骨の間が狭くなるため、間を通っている神経と血管を圧迫する。このため、血行不良と疲労物質の蓄積によって、ますます肩こりがひどくなる。これが「胸郭出口症候群」と呼ばれる恐ろしい病気で、腕のしびれや冷え、むくみ、めまい、頭痛、歩行障害、うつなどの症状につながっていくことがある。
いったいどういう理由で下がり鎖骨になるのだろうか。遠藤講師は、冒頭の3人を診察する前に待合室で待たせて、その様子を隠しカメラで観察した。全員、ベンチに座ってスマホを見続けている。
遠藤講師「ほら、みなさん猫背だし、スマホを見続けるうつむき姿勢が習慣化していますね。そして姿勢を変えず動いていません。これらのことが下がり鎖骨の原因です。かなり長い時間待っていますが、動くのはスマホを持っている指先だけ。ほとんど姿勢が変わりませんでした。特に猫背がよくありません。猫背になると肩が内側に入り、肩甲骨が外側に開いて前方に倒れます。そして肩甲骨に連動した鎖骨が下がってしまうのです」
肩甲骨を意識しながらゆっくりボートを漕ぐように
さて、自分が「下がり鎖骨」かどうかは、肩甲骨の「ガチガチ度」をチェックするとわかるそうだ。その方法はこうだ。
(1)壁に後頭部と肩、お尻とかかとをつけて立つ。両腕は両足の脇にピッタリ付けて垂らす。
(2)両腕を、円を描くように壁に沿いながらゆっくり上げていく。
(3)両腕の上がった角度が地面と比べて45度未満ならガチガチ、45?60度未満はややガチガチ。60度以上ならオーケーだ。「下がり鎖骨」の心配はない。
最後に遠藤講師は、「下がり鎖骨」を改善し、頑固な肩こりを1日に1分の体操で解消するストレッチをスタジオで披露した。名付けて「ボート漕ぎ体操」。方法はこうだ。ガチガチや、ややガチガチだった人は、ぜひ毎日行おう。
(1)椅子にすわり、ボートを漕ぐように腕を前から後ろに回す。この時、呼吸を止めないように注意。
(2)肩甲骨を意識しながらゆっくりと回す
(3)肩甲骨を寄せながら、ひじを肩の上まで上げるのがポイント
(4)10回を1セットとして、1日2セットが目安。
(5)痛みを感じる場合は無理をしないこと。