豪州の女性が職場で同僚と話しているとき笑ったところ、頸椎を2か所骨折してしまったというニュースが海外の複数のメディアで取り上げられ、日本でも一部のネットニュースで伝えられている。
一見ジョークのようにも思えるが、頸椎を損傷するというのはかなりの重症だ。スポーツ選手や交通事故の被害者が、頸椎に大きな衝撃を受け骨折した事例は聞くことがあるが、笑うだけでも骨折してしまうという事態がなぜ起きたのだろうか。
5年前にはくしゃみで骨折
豪州の大手ネットニュース「News.com.au」の2017年5月17日付の記事によると、頸椎を骨折したのはモニーク・ジェフリーさん。4月に職場で同僚たちと会話をし笑っていたところ、急に激しい痛みが首に走り頭が右側に傾いた状態でまったく動かせなくなった。すぐに同僚に助けを求め救急搬送され、病院で金属製の固定具で頭蓋骨を固定して頸椎への負担を軽くする処置を受け、現在は安静にしているという。
実はジェフリーさんは2012年にも同じ部位の頸椎を骨折している。ベッドに横になってスマートフォンでメールをチェックしていたとき、くしゃみをしたところ頭が右側に傾き、あごが右肩の上に乗った状態になってしまった。
News.com.auの取材に対しジェフリーさんは「仕事に出かけている夫に助けを求めたがスマホを耳に当てられない状態だったので、スピーカーを使った」と答えている。この時もやはり頭蓋骨を固定する処置を受け、14週間も器具をつけたまま過ごしようやく完治したという。
英タブロイド紙「メトロ」電子版は、ジェフリーさんを診察した整形外科医の「くしゃみや笑うことが原因で2度も頸椎を骨折した例は聞いたことがない」というコメントを紹介している。
この医師によると、複数回出産を経験して骨密度が低下している女性や、首の筋力が弱く頸椎へかかっている負荷が大きい人は、軽い衝撃でも骨折してしまうことがあるが、通常は適切な治療を受けることで完治し繰り返すことはないと指摘。何らかの原因でジェフリーさんの頸椎がもろくなりやすいのではないかと推測している。
医師は3度目の骨折を危惧
現在ジェフリーさんは首の筋力を強化し、頸椎への負荷をより減らすための理学療法とリハビリを受けているが、医師は3度目の骨折を起こすのではないかと危惧しており、もしそうなった場合は骨折を繰り返している2か所の頸椎をくっつけてひとつの大きな骨とし、強度を上げる手術を行うしかないとしている。
メトロ紙の取材に対しジェフリーさんは、2人いる子どもの世話をするために夫がほとんど働けず、自分も治療のために休職しているため「首のことより医療費が心配」と答えていた。