「トイレットペーパーを三角折にしないでください」と書かれた貼り紙が病院のトイレに掲示されているとツイッター上で報告があった。
「親切心」から実践している人もいるであろうこの三角折だが、何か問題があるのだろうか。
「他の人がベタベタ触ったペーパー使いたくない」
ツイッターユーザーの「にゃーこ」さんが2017年5月28日に投稿した写真には「患者さんへお願い トイレットペーパーを三角折にしないでください」という文言に続き、「用を足した後の手を洗う前に、トイレットペーパーを折ると、便中や尿中(感染している場合)の細菌などの微生物が付着し、細菌感染する可能性が高くなることがあります」と書かれている。にゃーこさんは写真とともに「三角折りしたら清楚だと思ってる女子達に言い聞かせたい」と皮肉をきかせた言葉も添えている。このツイートは2万3000以上リツイートされるなど、大きな注目を集めた。
トイレットペーパーの端を左右から折って三角形の先端をつくると、見栄えの良さもあってどことなく「清楚」な印象を受けなくもない。ただ、ツイッター上では
「折ってくれた気持ちはいただきつつも、この部分はやぶりとってしまってます」
「これ思ってたやつや...他の人がベタベタ触ったペーパー使いたくないよなぁ当たり前だよなぁ?」
と、清潔感に欠けると思うユーザーが少なくなかった。
J-CASTニュースの取材に応じたにゃーこさんによると、この貼り紙はある病院の患者や見舞客が利用できるトイレの、トイレットペーパーホルダーの上あたりに掲示されていた。病気の影響で「免疫力が落ちている人が多い」のだという。
「清掃完了の合図」の場合も
三角折の意味は諸説あるが、ホテルなどの施設でトイレ清掃員が「清掃完了の合図」として行う場合がある。ツイッター上でも「バイトしてた頃掃除しましたよーって印でやってました」との声も出ている。
では、トイレ利用者が三角折をするのは望ましくないのか。衛生用品の開発・製造を手がける東京サラヤ(本社・東京都品川区)食品衛生学術室の村松寿代室長にJ-CASTニュースが見解を聞いたところ、
「ふん便やおう吐物に接する場所であるトイレでは、感染症が起こりやすいです。ふん便など用を済ませた手によって、トイレットペーパーを親切心から三角折りする事は、かえって、手から汚染を広げてしまう可能性があります」
と貼り紙の内容に同意し、特に脅威になるものとしてノロウイルスの感染に言及した。
「ノロウイルスについてですが、実際に食中毒が起きた施設のトイレを調査すると、便座やドアノブ、手洗い水道栓など、トイレのあらゆるところからノロウイルスの遺伝子が検出されたという報告があります。また、感染者が使用した後のトイレが汚染源となって、食中毒や集団感染が起きたと考えられる事例が発生しています」
その上で、「細菌やウイルス等の病原微生物は非常に小さくて人の目では見ることができません。いくらトイレがきれいに見えていても病原微生物が潜んでいる可能性があります。トイレを使用した時に、気づかずに病原微生物が手指に付着して、その手を介して食品や環境を汚染し、他の人を感染させたり、自分が感染してしまったりする危険性があるため、トイレ使用後は必ず手洗いをしましょう」と注意を促していた。