1つのセリフを書くだけで20~30分
同作に登場する異世界語の「ユリアーモ」の単語や文法は、すべてエスペラントそのものだ。ライターのJ-MENTさんは、今作の執筆前はエスペラントの初心者だったというが、辞書や教本を買い込んで猛勉強したという。
なぜ、エスペラントを作中に登場する異世界語のモチーフとして採用したのか。その理由について、J-MENTさんは6月7日の取材に対し、
「中途半端に異世界の言語を作ると、必ずチープになります。それなら1から言語を作るような真似はせず、適切なモノを起用するのが良いと思いました」
「もちろん、日本から遠く離れた国の言葉でも可能ですが、それだと現実の世界で『その国を訪れること』で再現できてしまいます。再現できないからこその異世界を作り出すのであれば、『エスペラントが最もふさわしい』と考えたのです」
と説明した。
ただ、執筆にあたっては事前の予想以上に苦労したという。今作では、主人公の凛(=プレイヤー)がエスペラントを「覚えているかどうか」で、作中のセリフに和訳がつくかどうかが決まる。この判断はプログラムで自動的に行うため、J-MENTさんは「和訳あり」「和訳なし」など複数のパターンのセリフを書き分ける必要が出てきた。
さらに書くセリフの内容は、初心者だというエスペラント語。辞書や文法本を確認しながら書かなくてはいけない。そのため、1つのセリフを書くだけで20~30分くらいの時間がかかる場合もあったそうだ。