飲まない人に比べ海馬萎縮リスク3倍
これまでの研究のなかには、より多くの飲酒量を継続した場合に脳の変化があることを指摘するものがあったが、今回の研究では、飲酒が適量であっても脳に影響がある可能性があるとする。「適量」グループでは、全く飲まないグループに比べ海馬萎縮リスクが3倍高かったのだ。
論文の共著者の一人、オックスフォード大精神科のアニヤ・トピワラ博士は「適量か、それより少ない量の飲酒の場合に、なんらかの防護効果が見いだせなかったのは驚き」という。「適量以下の軽い飲酒」のグループでは、脳への影響では飲まない人たちとの有意の差はなかった。
欧米では、グラスワイン1杯などを伴う「地中海ダイエット」や、米国立心肺血液研究所が高血圧を予防し治療するために推奨し、アルコールも1日1杯までなら飲んでもOKとしている「ダッシュダイエット」がもてはやされているが、今回の研究結果は、こうしたダイエット法にも冷水を浴びせるような内容だ。
今回の研究で「最も飲む」グループに分類されたモデルでも毎晩深酒をしているわけはない。同グループの定義は「1週間30ユニットのアルコール消費」。1ユニットは「10ミリリットルあるいは8グラムのアルコール」。中程度のグラスワイン1杯、また、ビール1パイント(英1パイントは約568ミリリットル)がだいたい2ユニットになるという。製品別のアルコール度数により異なる。「適量」グループは、1週間に14~21ユニットの摂取で、毎晩中程度グラスで1杯のワインと週末にも少々飲む人たち。