飲酒はほどほどならば健康効果ありともいわれるが、英国での最新の研究では適量であっても脳に重大な影響が及ぶ可能性があるという。
同研究は、30年間にわたり約1万人を追跡した調査を使い研究したものだが、その調査には、飲酒習慣の詳細から定期的な脳検診やMRI検査も含まれており、研究では飲酒による脳への影響を分析した。
公務員対象「ホワイトホール研究II」を分析
発表されたのは、オックスフォード大学とロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)による研究の一部で、その論文が2017年6月7日付で英医師会誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」のウェブサイトに掲載された。
同研究は、1985年から英国の公務員を対象に実施されている「ストレスと健康」に関する著名な臨床試験「ホワイトホール研究II」を使い、550人の1週間ごとのアルコール摂取に注目し、さらに脳の定期検診とMRI検査を合わせて分析の対象にした。
研究ではまず、飲酒量が最も多いグループは脳内で海馬委縮を発症するリスクが最も高いことに注目。海馬萎縮は、空間認知に影響を及ぼす可能性があり、また、アルツハイマー病や認知症に似た記憶障害を起こす可能性がある。
また、平均より多い飲酒のグループでは言語の能力の衰えを経験する時期が早くおとずれ、MRI検査では、しばらくすると認知機能にきわめて重要な影響を及ぼす症状がみられたという。