英ポンド、「乱高下しやすい状況に」
前出の外為どっとコム総研の神田氏は、「FX投資家が、激しい値動きのある相場に対する備えができるようになりました。今回もポンドが急落しましたが、それによって大きな損失を被った投資家は少ないようです」とみている。
2016年6月の英国がEU離脱を決めた国民投票のときは、事前の予想と違っていたため大きな損失を出した投資家も多かったが、神田氏は「そのときよりも、数段、上手にポジションを管理できています」と、「ブレグジットの教訓」が生きていると指摘する。
選挙前には、保守党の勝利を予想する世論調査が多かったが、次第に楽観論が後退したこともあり、ポンドに対するポジションを手じまいして「様子見」を決め込む投資家が多かったという。
とはいえ、今回の選挙結果、メイ首相率いる与党・保守党が過半数を割り込む見通しとなったことで、英ポンドが引き続き「売られる」状況にあることには変わりない。
EUからのハードブレグジット(強行離脱)を掲げるメイ首相は、この総選挙で保守党が単独過半数を維持して勝利するというシナリオを描いていた。それが崩れたことで、EU離脱に影響が出てくることは必至だ。英メディアの一部では、メイ首相の求心力の低下を指摘する論調や、再選挙の可能性を示唆する声もある。
神田氏は、「いずれにしても、不安定要素は多い。(ポンドが)一方的に売られることは考えられませんが、乱高下しやすい状況にあることは間違いないです」とみている。