東京都の小池百合子知事は2017年6月9日の定例会見で、築地市場の豊洲移転問題を議論する都の市場問題プロジェクトチーム(PT)から出た「築地再整備案」について、「豊洲ありきでこれまで進めていたのが、築地の見直しに触れたのが1つのポイント」との見方を示し、「総合判断の材料」にすると述べた。
その後の「都民ファーストの会」代表としての記者会見では、「総合判断」を下す時期を、6月23日告示の都議会議員選挙の前になる可能性を示唆した。
「築地の見直しに触れたのが報告書の1つのポイント」
市場問題PTは5日に第10回会議を終え、報告書をまとめた。小池知事は定例会見で「大変な力作」と評価した上で、内容について「『豊洲移転案』と『築地再整備案』の両面でいろいろと分析がなされたと承知をしている。豊洲ありきでこれまで進めていたのが、築地の見直しに触れたのが今回の報告書の1つのポイントだと思う」と述べた。報告書の提出は13日に受ける予定で、「多方面から分析がなされているので、総合判断の材料の1つとして受け止めさせていただく」とした。
小池知事は「私の政権公約」と題した9日発売の「文藝春秋」(7月号)への手記でも「築地市場の改修案も市場問題PTから出され、百花繚乱の様相を呈している」としながら「ここはアウフヘーベンすることだ」とつづっている。アウフヘーベンという言葉を用いた意図を会見で問われると、「いったん立ち止まってより上の次元にという、日本語では『止揚』と表現される言葉だ」とした上で以下のように答えた。
「これまでも安全・安心、法的・科学的なさまざまなチェックをしてきた。専門家会議も11日に休会していた会議を再開する。市場問題PTには多角的な報告書をまとめていただいた。それと、『6000億円も注ぎ込んだのだから早く移れよ』というような乱暴な意見も聞くが、さまざまな調査をみていると『豊洲移転もいいけど安全にしてからね』という意見が一番多い。その辺りの部分はまだちゃんと知らされていないことだと思う。こういったことを全部含めてどう判断するのか、そのための『アウフヘーベン』だと言った」