ラグ1時間につき発症リスク11.1%増
ボストンでの米国睡眠学会で新しい研究報告をしたのはアリゾナ大学ツーソン校の睡眠と健康に関する研究プログラムにたずさわるマイケル・ グランドナー博士ら。報告は学会誌の摘要にも採録された。
この研究では、1000人以上を対象にした別の研究から得られた22~60歳の成人984人のデータを検証。アンケートから睡眠サイクルの中ほどの時間(ミッドポイント)を割り出し、休日のミッドポイントから平日のそれを引いて、その差をソーシャル・ジェットラグの程度の評価にあてた。さらには個人別に不眠症の有無、不眠の症状の程度を示す不眠重度指数、また、年齢、性別、人種、民族、教育、環境、雇用形態などのファクターもデータの検討に加えた。
研究によりわかったことはまず、ソーシャル・ジェットラグと不快感、眠気、疲労感のほか、全体的な不調感と関係があること。アンケートで健康状態について3段階の選択で回答を求めたが、ソーシャル・ジェットラグの程度が高いほど自己評価が低かったという。さらにソーシャル・ジェットラグ1時間につき、心血管系疾患の発症リスクが11.1%増すという結果が出た。
研究グループのシエラ・フォーブッシュ氏は「睡眠の規則性が、睡眠に充てる時間とは別に、健康に意義のある役割を果たしていることが分かった。睡眠スケジュールに規則性を持たせることは、心血管系疾患や他の健康問題に効果的なうえ、費用もかからない予防的トリートメントになることが示された」と成果を強調している。
比較的規則正しいと生活をしていると考えている人は、休日の「寝だめ」はちょっとしたぜいたくと考えているかもしれない。ところが、それが習慣になっている場合は注意が必要のよう。週末の夜更かしや遅めの起床だけでも体内時計が乱れ、休み明けにソーシャル・ジェットラグの症状を招くことがあるという。