高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「総理の意向」の正体 加計学園めぐる文科省の「言い訳」

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公表されている議事録と照合する必要性

   はっきりいえば、勝負のついた後に、文科省は言い訳をいっているだけだ。しかも文科省内の部内文書である。マスコミはそればかりを報道して、(1)、(3)のように既に公表され、しかも文科省のみならず内閣府も認めた、いわば両者の合意文書を報道しないのは明らかに報道としてはおかしい。

   前川氏は、許認可を背景として天下り斡旋を行ってきた。そのために、獣医学部新設を拒んできたといわれて仕方なく、公務員として失格である。さらに、組織の幹部であったが、管理職として極めて不味い。

   文科省が、特区で内閣府・特区有識者委員と交渉してきたのは、課長レベルである。交渉に負けたとき、負けた者は組織の幹部に報告するとき、いい加減なことをいう。

   筆者からみれば、それが「総理の意向」である。

   議事録を見る限り、内閣府・特区有識者委員の完勝であるので、ワーキンググループの親会議である特区諮問会議まで上がっていない。当然、安倍首相も知らないところで議論は終わっている。「総理の意向」なんてあり得ない状況だ。

   しかし、完敗した文科省官僚が、ありもしない「総理の意向」があったとでっち上げて、文科省幹部に報告した可能性がある。

   そうした報告を受けた前川氏は、公表されている議事録と照合しなければいけない。そうでないと判断を誤るからだ。しかし、前川氏の記者会見ではまったく検証を行っていない。これでは管理者としても失格である。

   こんな簡単なことを報じられないマスコミも失格である。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)など。


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