日本音楽著作権協会(JASRAC)は2017年6月7日都内で記者会見を開き、楽器教室における演奏等の管理に向けて、著作権使用料規程を文化庁に届け出たと発表した。2018年1月1日からの実施を予定している。
同規程について、音楽教室を展開するヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などは「音楽教育を守る会」を結成し、「演奏権は及ばない」と主張。7月をめどに東京地裁に訴訟を起こす方針を固めている。
約9000の楽器教室が対象
「楽器教室における演奏等の管理」では、楽器教室の先生及び生徒が同協会の管理する著作物を利用した場合に使用料を徴収する。使用料の種類は利用事業者の選択制とし、受講料収入の2.5%を支払う年額使用料、受講者数と受講料から見た売り上げの5%を支払う月額使用料、0.5%を支払う曲別使用料の3通りの方式を設ける。
当面は大手楽器教室運営事業者が運営する約9000の楽器教室を対象とし、その後、約2000ある個人の事業者も管理の対象としていく。
同協会は17年10月頃から事業所ごとに書面や面談などで理解を求め、18年1月までに許諾が得られなかった場合でも説得を継続し、合意できた時点で1月を起点に精算して使用料を徴収する方針だ。大橋健三常務理事は「届け出た規程は上限規程であり、協議することは可能」という。
記者会見では、作詞家のいではく会長と作曲家の渡辺俊幸理事が、
「クリエイターに対して世の中がもう少し敬意を持ってもらえたらと思います。無から有を生み出すのには、多大なエネルギーと努力を要します。それらに尊重心を持ってもらえたら」
「作家にとって著作権印税がいかに大切か。これを糧に生きている人もいます。音楽を生み出す人が将来安心して職を選んでいけるような、著作権で作家が守られている状況が必要」
と、それぞれ創作者の立場から思いを訴えた。
一方の「音楽教育を守る会」は同日、ウェブサイトで
「JASRACが文化庁に使用料規程を届け出ましたが、これによって音楽教室における演奏について、著作権法上 演奏権を行使できる利用に該当すると、文化庁に判断されたものではないと認識しています。現在、債務不存在確認訴訟について準備を進めており、その方針に変更はありません」
と声明を発表している。