サウジアラビアなど6か国がカタールに国交断絶を宣言した問題に、ロシアの影がちらつき始めた。CNNが2017年6月7日(日本時間)に報じたところによると、ロシアのハッカーがカタールの国営通信社のシステムに侵入してフェイクニュースを発信させ、そのフェイクニュースが断交の一因になったとの見方が浮上している。
トランプ大統領は断交を「テロの恐怖の終わりの始まりだ!」などと称賛しているが、ロシアの関与が再び浮上したことで、16年の大統領選にロシアが関与したとされる「ロシアンゲート」に苦しむトランプ氏にとって逆風が強まりそうだ。
6か国は「カタールがテロ組織を支援している」と主張
6か国は6月5日に断交を表明。その理由としてカタールがテロ組織を支援しているなどと主張しているが、カタールは事実に反するとして反発している。
CNNによると、5月23日にカタールの国営通信社が、同国の指導者がイランとイスラエルに親密に振る舞い、トランプ政権の継続性に疑問符をつけた、などとする記事を配信。この指導者の行動が6か国を刺激し断交の一因になったとされるが、この記事自体が「フェイクニュース」だったというのだ。
カタールのムハンマド外相はCNNに対して、
「これ(断交に端を発する外交危機)は、捏造されたニュースから始まった。このニュースはハッキングされた通信社にねじこまれたもので、この点はFBIが証明している」
などと話したという。
CNNでは、米国の情報機関の情報として、フェイクニュースの背景に、ロシアのハッカーがいたと指摘。カタールと米国の政府高官の話として、米連邦捜査局(FBI)がカタール政府の調査を支援するために捜査チームを派遣した、とも報じている。
トランプ大統領は6か国による断交発表後の6月6日夜(日本時間)
「先日の中東訪問中にも、過激思想に資金を出すところはもうない、と指摘した。(現地の)指導者はカタールを名指ししていた。ほら見ろ!」
「国王や50か国(の代表)と会談したサウジアラビア訪問の成果が出ているのは望ましいことだ。彼らは、過激派への資金提供には厳しく臨むと言っていたし、皆がカタールを名指ししていた。おそらくこれは、テロの恐怖の終わりの始まりだ!」
とツイートし、断交を高く評価した。ただ、カタールにあるアル・ウデイド空軍基地は中東での米軍の最大の拠点で、米国が主導するイスラム国(IS)への空爆作戦も、同基地で指揮しているとされる。こういったトランプ氏の姿勢が、IS掃討作戦に影響する可能性もある。