バラエティ番組や情報番組で見かける「再現ドラマ」。これに専門的に出演する女優を「再現ドラマ女優」と呼ぶが、2017年6月6日放送の「マツコの知らない世界」(TBS系)で、「再現ドラマ女優」が特集され、ネットで話題になっている。
理由は、想像をはるかに越えた「冷遇」っぷり。MCのマツコ・デラックスさんも「テレビ業界の闇を見ているよう」と絶句した。
事務所と折半で4000円
この番組は、ゲストが得意ジャンルや、現在ハマっているものをマツコさんにプレゼンしていくという内容だ。この日のテーマは「マツコの知らない再現女優の世界」。ゲストは、再現ドラマの女王と呼ばれる、上村依子さん(58)と芳野友美さん(36)だった。
上村さんは、強烈なキャラクターで印象深い「エピソード再現の女王」、芳野さんは、これまで数々の有名人エピソードを再現してきた「有名女優再現の女王」だ。上村さんのこれまでの出演作品は1000本を超えるという。
舞台裏を知り尽くした2人が、「再現ドラマ女優」の実態を話していく中、マツコさんを驚愕させたのが、ギャラをはじめとする待遇だ。
人気の芳野さんのギャラは月平均で3万円。大御所の上村さんでさえ月5万円――。
再現ドラマは毎週同じ人を使うのを避けるため、よくて月に3本くらいしか仕事が入らないという。1本1万円いくかいかないか、という報酬だ。
芳野さんは今でもアルバイトをし、上村さんは40歳くらいまで銀座でホステスをしていたと話す。
ただ、この金額はまだいい方で、2人によれば「新人だと、月8000円とかですよ。事務所と折半なので手元には4000円とか」「それが再現ドラマの初任給」だそうだ。
上村さんは、「ペットより安いですもん! 売れてる犬じゃなくて売れてない動物よりもね」と、豪快に笑ってみせたが、マツコさんは、「あれだけ演技しているわけじゃない? それには見合ってないわよね」「テレビ業界の闇を見ているよう」と、驚きを隠せない。
参考で画面に流れた動物のギャラは、犬「約10万円」、猫「約8万円」、ネズミ「約1万5000円」だった。
さらにマツコさんを驚かせたのは、芳野さんの「自宅」公開だ。
衣装、小道具も自前
芳野さんが今住んでいるのは、築35年、家賃5万1000円の1K。インターホンは壊れていて鳴らず、ガムテープで留めてある始末だ。
主食はバナナで、たまにあたりめを食べる程度。食費にはお金をかけないという。
部屋に散らかったゴミ袋の山が目立つため、スタッフに「部屋が汚い?」と問われた芳野さんは、「違います、これゴミじゃないんです。全部洋服なんです」と説明する。
再現女優は、衣装や小道具などはすべて自前。そのため、いろんな設定のドラマに対応できるよう、洋服や靴、カツラ、小物、雑貨が部屋中に溢れているのだ。
芳野さんによれば、1日で40パターン用意しなくてはいけない現場もあるらしく、マツコさんは「それであのギャラなの? 今日はテレビの闇にメスを入れてるわよ」と、驚きっぱなしだった。
ちなみに、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)と、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)は、衣装を用意してくれるらしく、特に金スマは、普通のドラマのように撮ってくれるので再現女優の中では「出演したい」番組なのだそうだ。
放送直後から、ツイッターでは「#マツコの知らない世界」がトレンドワード入り。
「ギャラ安すぎる」
「再現ドラマってバライティーになくてはならないものになってるから、もっと大切にしてあげてほしい」
「涙なしでは見られない内容」
「再現VTRの世界がいかにブラックか、ということがわかった」
「ものすごい『やりがい搾取』の世界だな」
と、驚きの声が続いている。