タバコは「フィルター付き」の方が危険 「フィルターなし」より肺がんリスク高い

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「軽い」と油断して肺の奥まで吸い込む

   「この空気口が良くないのです」とシールズ教授は強調する。

「フィルターに穴があることによって、喫煙者はフィルターなしのタバコより多くの煙を勢いよく肺に吸い込んでしまいます。しかも、新鮮な空気が混じっているため、よりマイルドに感じ、安全だと錯覚して深々と肺の奥まで吸い込み、肺腺がんを誘発しているのです」

   フィルターがあることによって、逆にフィルターなしのタバコでは届きにくい肺の奥まで煙が届いてしまうのだ。

   シールズ教授らは、タバコと肺がんに関する国内外の研究論文、およびタバコのフィルターに関するタバコ会社の内部調査資料など、合計約3300件のデータを分析した。その結果、次のことが明らかになったという。

   (1)喫煙者の減少などによって、肺がん全体にかかる人は減少傾向にあるのに、20年ほど前から肺腺がんになる人が増え始めている。

   (2)その時期は、タバコ会社がタバコのフィルターに「空気口」を導入、普及させていった時期とほぼ一致する。「空気口」の増加と、肺腺がんの増加には関連性がみられる。

   (3)また、フィルターの「空気口」から入る空気によってタバコが燃焼する様子が変わり、より多くの発がん性物質が生成される可能性が高い。そして、有害な発がん性物質を含む煙を肺の奥深くまで吸い込むことが、肺腺がんが増えた原因と考えられる。

   もっとも、シールズ教授は「私たちが集めた科学的な証拠は、肺腺がんの発症にフィルターの空気口が影響していることを示していますが、まだ仮説の段階です。産生する有害物質を突きとめるためには、さらに研究が必要です」とコメントしている。しかし、「フィルターの空気口は非常に危険なので、穴をふさぐべきです」として、食品などの安全性を審査している米食品医薬品局(FDA)に、空気口の開いたフィルターの使用を禁止するよう警告した。

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