家計に占めるペット関連費用の増加などから、この数年は「空前のペットブーム」といわれる。療養関連の施設でアニマルセラピーの導入が進むなど、ブームには動物たちの「健康効果」も一役買っているらしい。
65%以上の世帯でペットの動物を飼っているという米国では、健康効果への注目もひと足早いようで、この数年、関連の論文が多数発表されている。同国の健康ニュースサイト「メディカル・ニューズ・トゥデイ(MNT)」は、それらをまとめて「ペットが行う心身の健康高め方」を特集した。
;米健康情報サイトが論文・研究報告を検証
MNTに2017年6月2日付で掲載された記事は、この数年の数々の論文をあげ「ペットたちは飼い主の心身の健康にすばらしく効果ある存在になり得る」としている。その効果は主に4つ。
まず1つめは「アレルギーのリスクを下げること」。
米国では約5000万人が鼻に症状が出るアレルギーを抱えているという。最も一般的な原因の一つは実はペット。その毛や皮膚の角質細胞のはがれ落ちたものが症状を引き起こす場合が多い。にもかかわらず、ペットがアレルギーのリスクを下げるというのは意外な印象を与える。
15年に米医師会発行の医学誌「JAMA小児科学」に掲載されたスウェーデンの研究グループによる研究報告によると、小さいころにイヌや農場の動物たちとの接触があると学齢期までにぜんそくにかかるリスクが減るという。
また、ペットのいる家庭の子どもは、3歳くらいまでに子どものアレルギーに関連する腸内細菌の変化を経験するという。こうした研究は「衛生仮説」を支持するもので、つまり、ペットがいることで、子どものころに数々のバクテリアや潜在的なアレルギーに接し、成長後のアレルギーに耐性が得られる、というのだ。
2つめは「不安神経症やストレスを低下させること」。
15年に米疾病対策センター(CDC)が行った調査では、自宅にペットがいるこどもたちは、不安神経症の有無をチェックするテストで「陽性」の確率が非常に低かった。
また17年5月に米国立衛生研究所が発表した研究報告によると、イヌのペットがいる家庭の子どものうち、積極的にペットと接する場合、そうでない場合と比較すると、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが低かった。またワシントン州立大学の人間発達学部の研究グループが14年に発表した研究結果では、乗馬をする十代の若者らはコルチゾールのレベルが低くなる傾向があった。