失明につながる「緑内障予備軍」は眼科の健診で
さて、ここまでは40代の「目の不調」だったが、これから先は恐ろしい病気の話に入る。40代女性のサチヨさんは、今年春に受けた検診で突然、目に関する聞き慣れない病名を知らされた。「視神経乳頭陥凹(かんぼつ)拡大」。眼底で視神経が集まり、焦点を結ぶ箇所が陥没して穴が開く病気だ。症状が進むと、陥没した部分が大きくなり、視界が黒い映像で覆われて見えにくくなる。サチヨさんは何の自覚症状もなかったが、眼科医から「緑内障の予備軍です」と宣告された。
緑内障は、進行すると視野が欠けてきて失明に至ることがある病気だ。40代以上の患者数は約400万人と推定されている。よほど進まないと自覚症状はなく、早期発見には眼科の検査を受けるしかない。東京医科歯科大学の眼科専門医・大野京子さんはこう解説する。
大野医師「緑内障とは視野が欠けてくる病気です。視野は周辺から欠けてくることが多いので、意外に気がつきません。周辺とは、上や下など色々ですが、特に上が欠けた時には、人は上を見上げることが少ないので、半分ぐらい欠けてきても気が付かないことがあります」
柳澤秀夫解説委員「治療方法はあるのですか」
梶田医師「残念ながら、進行を遅らせることしかできません。完全に治す治療法の研究に努めている段階です。だからこそ、眼科での定期検診をお勧めします。眼底検査をすれば、早い段階で視神経乳頭陥凹を見つけることができます」
柳澤秀夫解説委員「でも、治せないのでしょう? 怖いなあ、いずれ失明するかもしれないなんて。むしろ検査して知りたくない気がする」
梶田医師「早い段階で見つければ、進行を極めてゆっくりにすることができ、少なくとも天寿を全うするまで、視力の不自由さを感じずに生きられるのですよ」