性的接触の可能性は低い
ゴリラとチンパンジー、人に共通の祖先にはもともと2種類のシラミが存在しており、人にのみ2種類が残ったのではないかとの仮説も成り立つのではないだろうか。分析によるとゴリラと人のケジラミは「共通の祖先から分かれた」のではなく、「ゴリラのケジラミから人のケジラミに分かれた」ことが示唆されており、この仮説の可能性は低いようだ。
では、ゴリラと人の間にどのような接触があったのだろうか。シラミは強固に毛にしがみついているため体毛に触れた程度では移るとは思われにくい。とすれば性行為かとも想像してしまうが、前述の論文ではそう結論付けられておらず「ゴリラの死体などを片付けた際に陰毛と体毛が接触した」「ゴリラが放棄した巣穴を寝床として利用していたため、その場に残っていたケジラミが移った」などの可能性を挙げている。
今後動物園でゴリラを見るときは、少し違った視点で観察することができるかもしれない。