ギネス世界記録「世界で最も辛い唐辛子」に認定されている品種を上回る唐辛子を、英ノッティンガム・トレント大学や種苗販売業者、園芸用品業者、唐辛子農家が共同開発し栽培することに成功したという。
その辛さはオイルを皮膚に塗ると感覚が麻痺し、口にすると気道に炎症を起こし呼吸困難を引き起こすほどだと英BBCなどが伝えている。
英国メディアで話題のこの唐辛子、一体どのような目的で作られたのか。
最も辛い唐辛子の辛さを20万上回る
2017年現在、ギネス世界記録に認定された最も辛い唐辛子は「キャロライナ・リーパー」という品種で、唐辛子の辛さを示す単位「スコヴィル値」は約156~220万とされている。ハバネロでも約10~30万、ジョロキアでも約100万とされているので相当な辛さだが、今回新たに開発された唐辛子「ドラゴンブレス」のスコヴィル値は240万に達するという。
開発メンバーで英ウェールズの種苗販売企業「トム・スミス・プランツ」のオーナー、マイク・スミス氏は5月17日付のBBCの記事で取材に答え、種子はノッティンガム・トレント大学で食用の唐辛子を掛け合わせて開発。気温の変化に弱く外気から遮断されコントロールされた栽培環境でなければうまく成長しないため、唐辛子農家の栽培工場を利用し、スミス氏の会社が苗として量産したと話し、
「10年近くさまざまな唐辛子を栽培し口にしてきたが、ドラゴンブレスを食べるのは楽しい体験ではない」
と、食用にはできないとコメントしている。5月16日付のデイリー・ポスト紙電子版の記事では、ドラゴンブレスをそのまま食べると命の危険もあるとまで書かれていた。食べられない唐辛子を何のために使うのだろうか。
スミス氏によると当初から医療用として開発したもので、皮膚が麻痺するほどの辛さを利用して医療用麻酔薬に利用することを目的にしている。麻酔薬が普及していない発展途上国への輸出や、麻酔薬アレルギーがある人の代替薬として販売することを目指すという。