仏教関係者向けの情報誌「月刊住職」が新聞1面下に出した広告の見出しがインパクトあると、ツイッター上で話題になっている。いずれも、週刊誌顔負けな「攻めすぎ」の内容だからだ。
「『亡き人にせめて幽霊でも会いたい』 が目を引く」「今月も『月刊住職』はそそられる見出しが満載」。朝日新聞の2017年5月28日付朝刊の1面下に6月号の広告が載ると、ツイッターでは、こんな書き込みが相次いだ。
「お布施もカード時代か」「僧侶が磨くセカンドスキル」
興山舎発行の月刊住職は、1974年に創刊され、現在では6万人ほどいる住職の4人に1人が購読しているという。現役の住職が編集長を務め、仏教界を巡るディープな記事を毎号載せている。
新聞広告では、見出しの一部を載せており、17年6月1日発売の6月号については、「せめて幽霊でも会いたい」の部分を太字で強調していた。
この記事は、仙台市内の出版社代表が書いており、震災被災地の東北にまつわる怪異譚を特集した。仮設住宅に津波でなくなった近所のおばあちゃんが訪れた、タクシーに女性客を乗せると姿が消えた、といった話を「魂の叫び」として紹介している。
「住職の本音『坊主丸もうけ』は本当か」も、耳目を集めた見出しの1つだ。記事は、住職にアンケートした結果、「一部のお寺に過ぎない」といった声のほか、「羨ましいなら坊主になってみろ」「会計を説明して誤解を解くべき」など様々な声をまとめている。
今の時代に敏感な記事も、関心を呼んだ。福井市内の住職が光と電子音楽で演出してネットで生中継された「テクノ法要」は、NHK「おはよう日本」が5月30日に取り上げたが、月刊住職でもタイムリーに紹介した。このほか、「お布施もカード時代か」「僧侶が磨くセカンドスキル」「新連載 新米住職ワーキングプア」など、今の時代のキーワードも巧みに採り入れている。
「見出しなどは初めからそうで、変わっていない」
月刊住職の新聞広告は、これまでも度々ネット上で話題になっている。
2015年12月号では、「肉親の骨をゆうパックで寺に送るな!」との見出しがインパクトありすぎると反響を呼んだ。また、16年9月号には、「ポケモンGO来山に寺院の対処法」といった特集が載り、「下手な一般紙より面白そう」といった声が出ていた。
仏教界の情報誌なのに、なぜこんな「攻めすぎ」の内容にしているのか。
月刊住職の矢澤澄道編集長は17年6月1日、J-CASTニュースの取材に対し、こう説明した。
「7月号で43年間やっていたことになりますが、見出しなどは初めからそうでして、変わっていないんですよ。読んでほしいから、アイキャッチ的なものを自ら考えて付けています。現代に即した住職の役割を選んで書いており、ジャーナリズムとして特別だとは思っていません」
新聞にほぼ毎月のように広告を出すようになったのは、4、5年前からという。
「一般の方に、住職も頑張っているんだよと伝えたいのと、住職にもそのことを広報したいという気持ちがあります。一般の方が関心を持ってくれれば、住職へのPRにもなるはずです。抱えている問題を正確に取材するよう心がけており、住職も自分の問題と捉えて読んでくれていると思います」