為替変動リスクと隣り合わせ
一方、住友生命は海外生保事業の寄与に加え、国内で他社より利回りの高い個人年金の販売が伸びたことなどにより増収を確保。保険料等収入は14%増の3兆4588億円だった。基礎利益も8%増えて3330億円だった。ただ、国内運用環境の悪化によって2018年3月期の基礎利益は前期比で減る見込みだ。
大手以外に目を転じると、富国生命や朝日生命なども2017年3月期は減収減益。ソニー生命のように運用面で思い切って外債にシフトした効果で基礎利益が2倍近く増えた例もあるが、レアケースといっていい。
日銀の黒田東彦総裁の任期は、2018年4月までと残り1年を切っている。しかし2%の物価目標が達成される公算は小さいため、18年3月期中にマイナス金利政策が見直される可能性は極めて低い。これを受けて生保大手4社が立てた18年3月期の運用計画は、国債運用を抑制し、高い利回りが期待できる海外シフトが鮮明になった。
ただ、海外シフトにも課題はある。生命保険のように息の長い商品の裏側で資金を運用するには、普通なら為替変動リスクを抑えるため「為替リスクヘッジ付き」の債券を買う必要がある。ただ、当然ヘッジにはコストがかかり、利回りが小さくなってしまう。そのためヘッジなしの外債を増やさざるを得ない状況だが、当然ながら日本国債にはない為替変動リスクと隣り合わせとなる。トランプ政権のもと、円相場は予想しづらい。生保各社の運用リスクはかつてなく高まっており、業績に与える影響も懸念されている。