韓国の地方新聞のひとつ畿湖日報が学生の間で、風船から吸引するタイプの薬物、通称「ハッピーバルーン」が蔓延しており、大学祭で販売されていることもあるとする記事を2017年5月26日に同紙電子版で掲載している。
名前を聞いただけでは未知の薬物かと考えてしまうが、実は日本でも2016年2月に厚生労働省が指定薬物とし医療用途以外の目的での製造や輸入、販売、所持、使用等が禁止された「一酸化二窒素(亜酸化窒素)」のようだ。
国内では2015年ごろに流行
畿湖日報によるとバーやクラブなどで一酸化二窒素を詰めた風船が「ハッピーバルーン」という名称で取引されており、5月25日にはソウルにある私立大学の慶熙大学校の大学祭でも販売されているとの通報があったという。大学側が学生に購入を控えるよう呼びかける事態にまでなったようだが、同紙は一酸化二窒素が韓国で薬物に指定されておらず、単なるガスとしてオンライン上などでも簡単に入手できてしまうことが蔓延の理由ではないかと推測していた。
J-CASTヘルスケアが日本に住む20代の韓国人男性にハッピーバルーンを知っているか取材をしたところ、「自分は聞いたことがない」と話す。
「今まで(大手の一般向け)ニュースなどでは見たことがないので、裏で密かに流行っているものではないでしょうか」
そもそも一酸化二窒素は麻酔効果があることで知られる。吸入すると顔の筋肉が痙攣し、笑っているように見えるため「笑気ガス」「笑気麻酔」とも呼ばれる。大量に使用すると血圧の上昇などを引き起こすため大規模な外科手術などではあまり使用されないが、歯科では麻酔として利用されている。
吸入すると陶酔感や多幸感が得られるため違法薬物の代替品として利用され、海外では英国やタイなどで若者による乱用が問題となった。日本でも「シバガス(SIVAGUS)」などの名称で2015年ごろに出回り始め、表向きは自転車タイヤの充填用ガスなどとして販売され、各自治体の薬物担当部署などから吸入の危険性を訴える発表が相次いだ。