あくまでも紙巻きからの置き換え
各社が力を入れるのは、紙巻きたばこ市場が先細る中、加熱式は救世主となる可能性を秘めているからだ。日本たばこ協会によると、2016年度の販売数量は1680億本で、ここ20年前で半分に減った。数量の減少を少しでもカバーしようと値上げを実施し、さらに数量が減るという悪循環が続く。この先も20年の東京五輪へ向けて受動喫煙対策が強化される見通しで、喫煙者は肩身がますます狭くなる。
そんな中、においや煙の大半を抑えた加熱式は「革新的な商品」として喫煙者に受け入れられつつある。味や「吸いごたえ」は紙巻きたばことは異なるが、「まあ満足」「これなら我慢できる」という層もいる。
ただ、あくまでも紙巻きからの置き換えであり、新規の喫煙者が増えるわけではないという現実がある。JTの調査によると、1960年代のピーク時には8割を超えていた成人男性の喫煙率は、直近では3割以下に落ち込んでいる。紙巻、加熱式を合わせたたばこトータルで見れば、販売を増やすというより、いかに穏やかに減少させるかを競う販売合戦といえる。