閉経前後の女性の多くが悩まされる更年期障害。ほてり、のぼせ、発汗...といった症状がよく知られているが、多くの医師が「原因不明」「異常なし」として匙(さじ)を投げた症状が、実は更年期障害だったという例がある。
突然キレる、脳卒中かと疑うほどのめまい、リウマチのような激しい関節痛...。あなたも婦人科で女性ホルモンをチェックしてはいかが。
人格が変わり、娘と台所で殴り合いのケンカ
女性の更年期障害の意外な症状については、2017年5月30日放送のNHK「おはよう日本 仕事・育児・介護に更年期 女性にのしかかる『四重苦』」で取り上げられた。報道局の中川早織記者が報告した。
中川記者「更年期障害は、閉経前後に女性ホルモンのエストロゲンが急激に減ることにより、心や体に重い不調が出ることを言います。かつては子育てがひと段落して自分の体とゆっくり向き合う時期でしたが、今は、出産・育児が遅くなり、親の介護、さらに仕事が忙しくなる時期と重なり、より深刻な状況に陥るケースが増えているんです」
番組では、忙しさの中で体の不調の原因が更年期だと気づかず、数年間苦しみ続けた女性を紹介した。森永ゆみさん(53)だ。看護師として働きながら4人の子どもを育ててきた。48歳のある日、突然めまいに襲われ、おう吐した。
森永さん「グラグラッときて、1人で歩けない状態になりました。主人と息子に抱えてもらい病院に行きました」
脳卒中を疑い救急外来へ。精密検査を受けたが、異常なし。「めまい」の症状から耳鼻科の受診を勧められたが、異常は見つからなかった。その後もさまざまな症状が出た。食欲不振になり内科へ。股関節が痛くなり整形外科へ。両手が痛くなりリウマチ内科へ。しかし、いずれの診療科でも「異常なし」と言われ、森永さんは途方にくれた。
森永さん「この症状は何なの、私は調子悪いのよって。異常がないので、お薬も出ない。どうしたらいいのって、悩みました」
夫の健司さん「症状に苦しんでいた頃の妻は、別人のようでした。仕事から帰ってくると、地べたにバーッと寝ている。急に怒り出して、娘と台所で殴り合いのケンカをするのです」