認知症は遺伝するのか 親が80歳未満の発症でリスク1.6倍に

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   認知症の老親を介護していて、「自分はこうはなりたくない。子どもに迷惑はかけたくない」と思う人は多いはずだ。

   そんな思いを裏切るような研究が発表された。親が80歳未満で認知症を発症した人は、自分も認知症になるリスクが1.6倍も高くなるというのだ。認知症は遺伝するのだろうか。

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「80歳以上」だと関係ない?

   この研究をまとめたのは、米ハーバード大学とオランダのエラスムス医学センターの合同チームだ。神経科専門誌「Neurology」(電子版)の2017年4月25日号に発表した。

   論文要旨によると、研究チームは、長年にわたって高齢者を中心にした家族データが残っている「ロッテルダム研究」の健康データを分析した。2000年~2002年の時点で認知症と診断されていない中高年男女2087人(平均年齢64歳・女性55%)を対象に、2015年までに認知症を発症したかと、両親の認知症の病歴を調べた。

   その結果、調査開始時点で407人(19.6%)が、親に認知症病歴があったと報告した(診断時の平均年齢79歳)。そして、2015年までに142人(6.8%)が認知症を発症した。認知症になった人と親の病歴との関連を調べると次のことがわかった。

(1)親が認知症になると、子が認知症になるリスクが、親が認知症でない人に比べ67%高まる。
(2)この関係は、特に親が認知症と診断された時の年齢に影響される。親が80歳未満で認知症になった場合に非常に強くなり、子どもが認知症になるリスクが1.6倍に高まる。
(3)しかし、親が80歳以上だった場合は、子どもが認知症になるリスクは1%しか高まらず、まったく関係がなかった。
(4)認知症になった両親の男女差は、子どもの発症に影響はなかった。

   つまり、親が80歳未満の比較的若い年齢で認知症になったケースに、「遺伝的影響」がみられるというわけだ。研究チームは、対象者の脳MRI(磁気共鳴画像)と両親の脳画像も調べた。その結果、「遺伝の要因は不明だが、脳灌流の低下や大脳白質病変、微小脳出血と関係しているようだ」と推測している。

   脳灌流の低下とは、心臓機能の低下によって脳のすみずみに血液がいきわたらず、脳細胞が機能障害や細胞死を起こすことをいう。大脳白質病変は、神経繊維が集中している白質部分で血液の流れが悪くなることによる異常で、脳卒中や認知症の原因になる。高血圧が最大の原因といわれる。いずれにしろ、脳の血流が悪くなる症状である点が「遺伝的な体質」につながるのだろうか。

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