東京株式市場は2017年6月2日、日経平均株価が大幅続伸。前日比317円25銭高の2万177円28銭で取引を終えた。終値ベースでは、2015年8月19日以来、約1年10か月ぶりの高値水準。
午前中から「買い」が相次ぎ、上げ幅は一時400円に迫る、前日比379円78銭高の2万239円81銭まで上昇。年初来高値を更新した。年初来安値を付けた4月17日(1万8224円68銭)からは、わずか1か月半で2000円を超える値上がりだ。
終値で2万円超えは1年10か月ぶり
日経平均株価が2万円台を回復したのは、日本株に影響を与える米株式相場や円相場といった外部環境の持ち直しがある。
2017年6月1日の米国市場では、民間企業が集計しているADP雇用統計レポートで、5月の民間雇用者数が市場予想の18万人増を大きく上回るなど、米経済指標の好調さを受けて、外国為替市場は1ドル111円60銭台まで円安・ドル高が進んだ。
「ADP統計は、いわば政府雇用統計の前哨戦のようなもの」(SBI証券投資調査部のシニアマーケットアナリスト、藤本誠之氏)で、今後への期待が高まったとみられる。
また、株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比135.53ドル高の2万1144.18ドルで取引を終え、3月1日に記録した史上最高値を3か月ぶりに更新。IT企業の銘柄が多いナスダック店頭市場の総合指数の終値も、48.31ポイント高の6246.83で、終値の最高値を更新した。
こうした米国市場の流れを受けて、東京株式市場でも2日の朝方から輸出関連株など幅広い銘柄に「買い」が広がった。日経平均株価は2万円の大台を前に足踏みしていたが、2日は東証の33業種のうち、食料品、情報・通信、水産・農林を除く30業種が上昇。なかでも、鉄鋼や証券、海運が大きく上昇した。
東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も、終値で26.06ポイント上昇の1612.2を付けた。
一方、東京外国為替市場の円相場は1ドル111円台後半に下落。米経済指標の好調や日経平均株価が2万円台に回復したことを受けて、投資家が安全資産とされる円を売る動きを強めた。6月2日17時現在で1ドル111円56銭近辺の円安・ドル高水準を付けている。
勝ったのは外国人投資家
SBI証券の藤本氏は「米国市場の流れはありましたが、高騰した一番の要因は、企業業績のよさです。2017年3月期決算では、多くの企業が史上最高益を連発。これで2万円に乗らなかったほうがおかしかった」という。
6月1日に発表された法人企業統計では、企業の設備投資の堅調さが指摘され、日本経済は良好にあると受け止められつつある。藤本氏は、「為替も、きょう(2日)急に円安に振れたわけではありません。このところ、ずっと1ドル111円近辺で推移していましたから、当初114円で2万円台と予想していた私からすれば、2万2000円もあり得ると考えています。いい相場の流れにありますね」と、超強気だ。
藤本氏によると、「勝ったのは外国人投資家ですね」とし、逆に負けたのは個人投資家という。「5月、個人投資家が一生懸命にカラ売りしていました。バブルであれば、それもわからないではないですが、企業業績がいいので今の株価はバブルとはいえませんよ。いわば、個人投資家がヘタなおかげで、外国人投資家が儲かったということです」と話す。
外国人投資家にとって、日本株は投資しやすい。2017年6月2日には米トランプ大統領が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した。それにより、「原油などの資源価格も不透明になってきました。また、欧州株も経済情勢が落ち着かない不安があります」と、藤本氏。
世界的に投資マネーの行き場がなくなりつつあるなか、日本市場は企業業績が好調とみられており、「日経平均株価は、2万円でも割安かもしれません」とみている。