日本卓球界のエース・水谷隼(27)を撃破したのは13歳の張本智和だった。
張本は両親が卓球王国・中国出身のサラブレッド。「チキータ」を武器に世代別の世界大会でも実績を残している。
水谷隼「終始圧倒され特に良いとこなく敗戦」
ドイツで開催中の卓球世界選手権。張本と水谷は、現地時間の2017年6月1日に男子シングルス2回戦で対戦。張本が11-7、11-6、14-12と3ゲーム連取、第4ゲームを7-11で落とすも第5ゲームを11-8で取って4-1で勝利した。
得点のたびに響いた「チョレイ」の雄叫びとともに、水谷を大差で破った張本は国内外へ大きなインパクトを与えた。16年リオデジャネイロ五輪で日本卓球史上初のシングルス銅メダルを獲得した水谷だが、敗れた後にツイッターで「終始圧倒され特に良いとこなく敗戦」「彼のためにも自分がさらに強くならないとね」と完敗を認めていた。
中国出身の卓球選手を両親に持つ張本は、小学生時代から頭角を現していた。世代別の全日本選手権で小学校1年から6年まで6連覇し、中学校にあがった16年4月には国際舞台で活躍できる選手を養成するJOC(日本オリンピック委員会)エリートアカデミーに入校した。
世界ジュニア後「東京五輪の金メダルが近づいた」
入校直後の16年6月、ITTF(国際卓球連盟)ワールドツアーのジャパンオープン荻村杯U-21(21歳以下)の部で12歳にして優勝し、世界に実力を見せつけた。同年12月には18歳以下の選手で争う世界ジュニア選手権(南アフリカ)でも優勝した。同月12日付の日刊スポーツによると、張本は世界ジュニアからの帰国後「東京五輪の金メダルが近づいた。今後も優勝していきたい」と2020年の目標を明確に述べている。
最大の武器はサーブレシーブを中心に用いる「チキータ」。バックハンドで強烈な横回転をかけることで相手の台上で大きく曲がり、返球が困難になる。エリートアカデミーではコースを狙う精度と回転の多さを両立できるようチキータを磨き上げている。
今大会5月31日の1回戦、C.ニュイティンク(ドイツ)に4-0でストレート勝ちした張本は試合後のツイッターで、炎の絵文字をつけながら「1勝」と一言だけ投稿。水谷を破った2回戦直後に投稿したのも同様に「2勝」だけだった。