生後20日~80歳まで視覚皮質を分析
今回の研究では、生後20日~80歳までの30人の死後の脳組織を分析。ヒトの脳の1次視覚皮質の年代による進化を確かめた。
それによると、5、6歳で成長が止まるというのが研究者らの共通認識だったものが、40歳前後まで成長を続けたケースがあった。詳しく検討して得られたのは、ヒトの脳の視覚処理部位の成長は平均で36歳まで継続し、個人で前後にそれぞれ4.5歳の差があるという。
また、1次視覚皮質の生長は5段階に分けられ、このことは、ヒトの視覚が生涯を通じて変化していることを示すものという。
米国では子ども100人のうちだいたい2、3人の割合で弱視を抱えると推定されているという。こうした子どもたちにとっては、矯正的な治療法しかないのが現状。今回の研究結果で、根本的治療をさぐる方向に進む可能性がある。
視覚をめぐっての成人を対象にした療法は、視覚皮質に柔軟性がなく効果が期待できないと考えられているが、マーフィー教授は、研究で脳の柔軟性が分かったので、これまで見送られてきた治療が有効な可能性があると述べている。