生まれてから数年で「成熟期」に達すると考えらえているヒトの視覚が、実際は40代まで「成長」を続けているとする研究結果がこのほど発表された。
脳内のタンパク質に注目して分かったもので、弱視などこれまで矯正治療しかなかった目の疾患の研究で今後の進展が示唆されるという。
カナダの研究グループが発表
研究結果を発表したのは、カナダ・マックマスター大学のキャサリン・マーフィー教授らのグループ。2107年5月29日付で米国の神経科学に関する専門誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に論文を寄せた。
これまで、脳や神経の研究者らの間では、ヒトの脳の視覚処理は「成熟」までの期間が短く、生まれてから数年間で成長が止まるものと考えられていた。マーフィー教授らは、脳内のタンパク質の動きを調べた結果「考えられてきた以上の長期間にわたって成長することが分かった」としている。
これまでの「定説」では「脳の一次視覚皮質は生まれてから数年で成熟期に達する」とされたが、これは、解剖による観察をベースにしたもの。研究グループは、一次視覚皮質に数種類のタンパク質みつけ、これらが「生まれてからの数年間」を越えて成長を継続させると考え、研究で裏付けられたという。