ファッションやアート、という話もあったが
きっかけは、2015年、会社が40周年の節目を迎えたことだった。これまでの音楽事業で培った感性を別の形で表現できないか、と考え、新規事業を手掛けることに。
「最初は、ファッションやアート分野も考えたのですが、それでは今までやってきたことと近すぎる。趣味=非日常の世界である音楽やアートの反対、生活=日常に溶け込みたいが、生活に一番近いのはどこか、と考えたとき、『コンビニ』という発想が出てきました」
社内でも「えっ、コンビニ!?」と驚きの声が上がる中、モデルとしたのは米ニューヨークで見た、地場の食品雑貨店(グローサリー&デリ)だ。街に根付いたこれらの店舗では、地元の住民と、「ラップやってそうな若者」が一緒に買い物をしていた。こうした光景を、日本にも作れないか。
そこで選んだのが、カルチャーの街・下北沢の、中心部から少し外れたこの立地だった。結果、近所の人も訪れるなど、客層もこれまでの「Pヴァイン的な」ものとは違う、幅を持ったものになったそうで、
「Pヴァインの音楽が好きそうな、ギターを持った若者がいれば、杖をついたおばあちゃんもいる。そういう人たちが入り混じってデリを利用しているのを見ると、『いいなあ』と感じます」