AKB48のCDについた投票券などで投票できる恒例の「選抜総選挙」(2017年6月17日開票)の中間発表にあたる「速報」の結果が2017年5月31日、東京・秋葉原のAKB48劇場で発表された。
3連覇が有力視されるHKT48の指原莉乃さん(24)は、まさかの「3位発進」。2位でSKE48の松井珠理奈さん(20)、4位の渡辺麻友さん(23)ら上位ベテラン勢が軒並み得票を純減させる中、新潟市を拠点にするNGT48の荻野由佳さん(18)が前年の22倍近い5万5061票を得票し、予想外の暫定1位でのスタートを切った。17年4月にメジャーデビューを果たしたNGTは入賞者を大幅に増やす一方で、指原さん率いるHKTは上位入賞者を大幅に減らす「惨敗」。開票を中継で見守っていたHKT48劇場(福岡市中央区)は「お通夜状態」だった。
「選抜」メンバー数ではNGTの方が多い
「総選挙」には全322人が立候補し、上位80人が「当選」する仕組み。今回の速報では、現時点の上位100人が発表された。上位80位圏内で見ると、東京のAKBや名古屋のSKE、大阪のNMBのランクイン人数の16年からの変動は多くても1~2人で、ほぼ「横ばい」。逆に大きく変動したのがNGTとHKTだ。16年はNGTからはキャプテンの北原里英さん(25)のみがランクインしたが、17年には7人が入った。一方のHKTは16年の22人が17人にまで減少。上位16人の「選抜メンバー」は、さらにその傾向が顕著だ。16年はNGTからのランクインはゼロだったが、17年は3人が入った。一方で、16年は4人いたHKTからの選抜メンバーは指原さん、宮脇咲良さん(19)の2人に半減した。
NGTの荻野さんは、過去に少なくとも4回にわたってAKBのオーディションを受けたが、不合格を繰り返した。14年には期間限定の「バイトAKB」に合格し、任期満了後の15年に行われたAKB48グループの「ドラフト会議」でNGTから指名され、やっとアイドルグループの正規メンバーの座を手にしたという「苦労人」だ。16年は「速報」では2515票を獲得し91位にランクイン。最終結果は9403票で95位だった。
新潟・米山知事は「バク宙」公約
今回の速報で獲得した5万5061票は「速報」では過去最多で、16年の最終結果と比較しても、12位だったNGT北原さん(5万0190票)を上回る水準だ。こういった結果を予想した人は荻野さん含めて皆無と言っていい。NGT48劇場(新潟市中央区)で開票を見守っていた荻野さんは放心状態で泣きながらステージ上に倒れ込み、
「何かの間違え!」
と絶叫。今村悦朗・劇場支配人の音頭でステージ上のメンバーが「万歳」を唱える中、震えながら
「涙も出てこない...」
と声を絞り出すのがやっとだった。
NGTをめぐっては、AKB48グループの楽曲を対象に投票する「リクエストアワー」の17年1月のイベントで、投票の対象になったNGTの3曲がすべてベスト10にランクイン。そのうち、初のオリジナル曲「Maxとき315号」が1位に選ばれた。17年4月のメジャーシングルデビューを経て、ファンの購買力や「熱量」が継続している可能性もある。
新潟県の米山隆一知事も、
「是非頑張ってください!トップだったら...バク宙でしょうか...。アップを始めます」
とツイート。「公約」を交えながらエールを送った。
指原「いつかはこんな日が来るんだろうなと思ってましたけど...」
一方のHKT48劇場では、「速報1位」を宣言していた宮脇さんは8位という結果を知ると、沈痛な面持ちで「有り難うございます」と一言。指原さん3位の結果には客席から「えーっ!」と驚きの声が上がった。「バイトAKB」「ドラフト会議」で荻野さんと同期で、16年発売のHKTのシングル曲「最高かよ」でセンターポジションを務めた松岡はなさん(17)は100位圏内にすら入れず、出演していた「ニコニコ動画」の特番で悔し涙を流した。
東京で番組収録の仕事をしていた指原さんは「めざましテレビ」(フジテレビ)の取材に対して、
「いつかはこんな日が来るんだろうなと思ってましたけど...、うーん、やっぱりちょっとショックが大きくて...」
と神妙に語り、
「とりあえず明治神宮の前まで行って神頼みしてきたよ」
「こんな時だけ神頼みされて神様もなんとも言えないって感じだと思う」
とツイートした。
CDの投票券などによる投票は6月16日15時に締め切られる。これに加えて、翌6月17日午後に沖縄県豊見城市で行われるコンサートの観客も1票を投じることができ、直後のイベントで開票される。例年の実績では、速報段階で投じられる票数は全体の4分の1程度。今後、情勢が変化する可能性もある。