捨てないで!消えゆくビーズバッグ 「もはや貴重な文化財」

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和製ビーズバッグの文化的な価値

「作る職人が減っているのももちろん大切な問題ですが、私が伝えたいのは、和製ビーズバッグの文化的な価値です。実は日本の本州以南では古墳時代の後にビーズ文化はいったん終わっているんです。戦後~高度経済成長期に流行ったビーズバッグや小物は、日本では久しぶりの『ビーズブーム』だったわけです。日本のビーズ史としては大変なインパクトでした」

   池谷氏によれば、ビーズの定義は、玉と玉をつなげたものだ。古墳時代は、翡翠や玉と呼ばれる「数珠つなぎ」のビーズ文化だった。言うなれば「線」のデザインだったが、昭和にはバッグに飾り付け彩るようになり「面」のデザインに変わった。

   この「面」で日本独自の技術とデザインが花開いた。

「ビーズで画を作るというのは非常に技術がいります。しかも日本では『植物』や『蝶』など生き物を好んで取り入れてきました。高度なものになると、葉の葉脈ごとに色を変えたり、羽ばたく羽根の躍動感も、ひとつひとつビーズで表現したりしています。これは世界でも珍しいことです」

   もともとビーズバッグはヨーロッパから入ってきた文化だが、ヨーロッパでは日本ほどデザインが多様化していないそうだ。

「ヨーロッパや中東でもビーズは装飾に使われていますが、布に縫い付けるというのがほとんどです。ですが日本は着物でビーズとの相性はよくなく、小物を通して『面』のビーズデザインが広がりました。着物と合わせて持つというのも特徴ですよね」

   今回の「ビーズバッグ熱」で、博物館にもたくさん問い合わせが来ているという。その中で「引きとってくれるのか」という質問が多いようだが、これについては、

「当館では、資料を受け入れる際に、その資料の背景となる情報を資料と一緒に聞き取りして資料情報を作成しております。通常は、写真等ものの形がわかるものと情報をお送りいただき、受入の可否を判断しています。今回のビーズバッグについても、同様の手順を踏む必要があります」

と話す。「状態がよい場合には博物館で保管する」そうだ。

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