怒りとイライラは心臓病と荒れ肌のもと 「上手な対処法」で若さをキープ(後編)

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「やけ酒」と「さっさと寝る」が悪い理由

   では、どうやって怒りを発散させるといいのだろうか。街頭で女性たちに聞くと、「スポーツをする」「やけ酒を飲む」「やけ食いをする」「さっさと寝る」「思いを誰かに聞いてもらう」が多かった。この中で、「スポーツをする」ことが良いことは誰でもわかる。残り4つのうち一番よくないのはどれか。意外なことに「さっさと寝る」ことだという。

   その理由を脳と情動の専門家、自然科学研究機構生理学研究所の柿木隆介教授はこう説明する。

柿木隆介教授「すごく怒っている状態でそのまま寝ちゃうと、まずいことが起こります。睡眠には、記憶を定着させる働きがあります。怒ったまま寝てしまうと、その嫌な記憶が脳にしっかりと根づいてしまいます。怒っている時は、悪い記憶をいい記憶で上書きしてから寝ることが大切です」

   やけ酒も同じだ。翌朝、前の晩のことを覚えていない人は多いだろう。飲んだ時の記憶は忘れているから、悪い記憶にいい記憶は上書きされず、さっさと寝るのと変わらない。やけ食いの場合は、美味しい味の記憶が上書きされるので、やけ酒よりはましだが、肥満という別の健康面の心配が出てくる。

   そこで、「スポーツをする」に次いで怒りの解消によいのが「思いを誰かに聞いてもらう」ことだ。ただし、怒っている人を救うカギを握るのは「聞き手の態度」にある。番組では、前編に出演したフリーアナ・大神いずみさんの夫、元木大介さん(元巨人選手)に協力してもらい、実験を行なった。元木さんに、3人の女性のイライラエピソードを聞いてもらい、どのような態度で聞くとイライラが収まるかを、九州大学病院心療内科の吉原一文医師がMRI(磁気共鳴画像)を使って3人の脳の反応から調べた。

   最初は丁寧にあいづちをしながら女性たちの話を聞いていた元木さんだが、そのうち飽きてきたようだ。腕組みをしたり、貧乏ゆすりをしたり、最後は女性たちの話をさえぎり、「少しは我慢しなくちゃ」「俺が選手だった頃は」などと説教を始めた。とたんに女性たちの脳が反応した。話を聞いてもらってリラックスした脳が、またイライラし始めたのだ。

吉原医師「元木さん、人の話を聞く態度としてはNGの連発ですね。聞き方で一番大事なのは『共感』です。目線をそらさず、うなずき、話をさえぎらないで話を聞くこと。心療内科医師のテクニックに『傾聴』がありますが、聞き役に必要なのが傾聴の姿勢。重要なのは、相手が大事なことを言った時に、もう一度繰り返し聞いて誘導してゆく。そこがポイントなのだな、と相手に気づかせるのです。相手にはいろんな思いがあるわけだから、説教したり、正解・不正解を言ったりしてはいけない。『私、なんでこんなことで怒っているのだろう』と気づくように促す。キーワードは『受容・支持・共感』です」
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