米国でアルツハイマー病が原因の死亡者数が大幅に増えたことが分かり、衛生当局はその発表にあたり、過度になる可能性もある介護に触れるなど異例のアプローチを行うことで、社会への深刻は影響を訴えた。
同疾患は詳しい原因が分かっておらず、治療法も見つかっていない。米国で2050年に患者数が現在の3倍以上の1600万人になるとも予想されている。
介護をする人たちにはサポートが必要
米疾病対策センター(CDC)は17年5月25日、アルツハイマー病による死者が15年間で55%増加したことを発表した。1999年と2014年の、それぞれ1年間の死亡診断書を使って調査。14年は9万3541人が同疾患を原因で亡くなっており、10万人当たりでの割合は25.4人で、1999年は同16.5人だった。地域別では南東部、中西部、西海岸で多かった。
CDCは、アルツハイマー病による死者が増えた理由として、高齢者人口の増加、早期発見ができるようになったことなど診断精度の向上、医療が進み心臓系の疾患による高齢者の死亡が減ったことなどが考えられるとしている。
アルツハイマー病は、認知症の原因疾患として最も多く、65歳を過ぎると症状が現れる可能性が高まるとされる。米国では死因としては6番目で、現在の患者数は500万人以上という。
CDCは今回の発表で、アルツハイマー病の家族を抱え介護にあたる家族らについてわざわざ言及。米メディアは「異例のアプローチ」と報じている。CDCのアン・シュチャット副所長は「高齢者のアルツハイマー病患者が増加しているということは、それに応じてますます多くの家族の人たちが、精神的にも肉体的にもつらい介護の役割をになっているということ。介護をする人たちにはサポートが必要」と呼びかけた。
同疾患には治療法や治療薬がなく、患者は症状が進むと介護なしには過ごせなくなり、患者本人ばかりでなく介護者ともどもの闘病生活となり、その負担が過酷なものになる可能性が高い。調査にあたった研究者らは「今回の調査結果は、親族や有給の介護者の負担が増えていることを示してもいる。最終ステージの患者はほぼ全員、運動機能や認識の低下で、常に世話をすることが必要」と述べた。