怒りとイライラは心臓病と荒れ肌のもと 「上手な対処法」で若さをキープ(前編)

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   怒りは美の大敵! イライラ解消術

   最近ムカッときたり、イライラしたりすることはないだろうか。怒りによって本当に傷ついているのはアナタの美と健康。いつも怒っている人は肌荒れになりやすく、1日5回以上怒ると心臓病のリスクが増大する研究もある。

   最新科学が明らかにした「怒り」の正体をひも解きながら、怒りの上手な対処法を探る。まず前編は、怒りが心臓に悪いメカニズムのおさらいから。

  • 怒りは心臓病のもと
    怒りは心臓病のもと
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怒りの正体は前頭葉と扁桃体の脳内バトル

   そもそも、怒りはどのようにして起こるのか?  番組では冒頭、「おこりん坊」を自認する女優の遠野なぎこさんに実験してもらった。場所は、脳と情動を研究している、自然科学研究機構生理学研究所の柿木隆介教授の研究室だ。脳の血流を測るヘルメット状の装置をかぶり、「55+78」「95+72」などと暗算を続ける。周囲でわざとイライラさせる雑音を出し、怒った時に遠野さんの脳の中でどのような変化が起こるかを確かめた。 血流を測っていたのは脳の前方部分で理性を司る前頭葉。一方、怒りを司るのは脳の中央部にある扁桃体(へんとうたい)だ。最初は穏やかな青色だった前頭葉は、遠野さんが「うるさい!」とぶち切れた瞬間、真っ赤に変わった。人が怒りを抑えている時は、前頭葉(理性)と扁桃体(感情)が互いに活発になり、それぞれ拮抗している。ところが、怒りが頂点に達すると、前頭葉に抑えられていた扁桃体が大きく興奮する。それを抑えようと前頭葉も血流を激しくするから赤くなった。そう、怒りの正体は前頭葉と扁桃体の脳内バトルだ。

   怒りの瞬間、心拍数も急上昇した。遠野さんが「うるさい!」と声を荒らげる前は心拍数が97だったが、声を荒げた瞬間、あっという間に118まで上がった。これだけでも心臓に十分悪いが、それ以上に怒りが心臓病のリスクを高める事態が血液の中で起こっている。 千葉県立保健医療大学の豊島裕子教授が、血管の中の画像を見せながら怒った時に起こる血液中のある成分の変化を説明した。

   豊島教授

「その成分が血小板です。通常は丸い形をしていますが、突然形を変え、つぶれた金平糖のようにトゲトゲした星状になるのです。怒りが頂点に達すると、扁桃体が活性化し交感神経も活発化します。すると、交感神経が副腎に、あるホルモンを分泌させる命令を出します。それがアドレナリンです。アドレナリンによって血小板が活性化し、トゲトゲになります。そして、トゲ同士がくっつき、連なっていきます。これが心臓病の引き金となる血栓の元になり、心臓を取り巻く血管に血栓が詰まって心筋梗塞になるのです」

   元気の素「アドレナリン」が心筋梗塞を起こす

   MCのお笑い芸人・後藤輝基「アドレナリンといえば、『アドレナリンが出た~!』というCMでおなじみの元気の素ですが、それがなぜ血小板をトゲトゲさせて、心臓病の危険を引き起こすのでしょうか? それには動物の進化に関わる深~い理由があるのです」 実はアドレナリンは「とうそうホルモン」と呼ばれる。「闘争」する時と、「逃走」する時に出るホルモンだからだ。弱肉強食の世界で敵と闘う、あるいは敵から逃げる「命の危機」の非常時にだけ分泌される。闘えば、傷ついて出血する恐れがある。アドレナリンが血小板をトゲトゲにして血栓を作るのは、かさぶたを作り、血を止める反応を助けるためだ。

   一方、逃走の場合はどうか。アドレナリンは末梢の毛細血管を収縮させる働きもする。その結果、筋肉に送り込む血流が増え、筋力がアップする。瞬発力が高まり早く走れる。私たち人間は太古の時代、ライオンから逃げる時や、命がけでマンモスを狩る時に、アドレナリンに何度も助けられてきた。

   MCの後藤

「しかし、現代では、私たちはささいな怒りやイライラで、アドレナリンをどんどん分泌させ、血小板をトゲトゲにしているのです。せっかくの命の危機の備えが、仇になってしまったのです」
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