毎日の歯みがき、「面倒だな」「時間がないのに」と適当に済ませていないだろうか。誤ったやり方を続けていると、歯周病や酸蝕歯(さんしょくし)につながりかねない。
歯の健康を保つために、ブラッシングの仕方や、みがくタイミング、歯みがき剤(歯みがき粉)の選び方と、工夫の余地は多い。歯周病と酸蝕歯を防ぐ、正しい口腔ケアとは――。
気付かない間に進行する「歯周病」
「歯周病」は生活習慣病の1つで、それほど珍しい病気ではない。厚生労働省の「2011年歯科疾患実態調査」によると、5歳ごとの年齢層別にみた、歯ぐきに何らかの異常が出ている人の割合は、年代が上がるにつれて増加する傾向にある。たとえば25~29歳は68.9%、35~39歳は79.6%、45~49歳は87.1%、55~59歳は85%となっていた。
歯周病の原因は、歯と歯ぐきの間にある深さ0.5~2ミリの小さな隙間「歯肉溝」に溜まる細菌にある。ケアが行き届かず歯肉溝に細菌が溜まっていくと「歯垢(プラーク)」という細菌のかたまりになり、歯ぐきの炎症を起こす。悪化すると歯ぐきを支える「歯槽骨」が溶け出し、最悪の場合は抜歯をしなければ対処できなくなる。初期は痛みがほとんどないため放置されやすく、気付いたら歯がグラグラと動く状態に悪化していた、というケースもある。
歯周病の予防には日常の歯みがきによるケアが重要だ。ブラッシング方法として、次のような「バス法」を覚えておきたい。まず、歯ブラシを歯の側面に対して45度の角度で当て、毛先を歯と歯ぐきの隙間に入れて、この隙間をブラッシングする意識で、軽い力で小刻みにみがく。歯1本あたり10往復を目安にすると歯垢を除去しやすい。逆に、歯ブラシを強い力で大きく動かすと歯や歯ぐきを傷つけてしまうおそれがある。