買い物は自分のペースでしたいから、店員には「声をかけて欲しくない」――。そう考える客の要望に応えるため、セレクトショップの「URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)」が試験導入したサービスが話題を呼んでいる。
それは、手に持つだけで「声かけ不要」の意思表示ができる店内用のショッピングバッグだ。このサービスを企画したアーバンリサーチの担当者は取材に対し、「個々のお客様のニーズを可視化することで、スタッフ側としてもより良い接客サービスを提供できる」と導入の狙いを語った。
「URBAN RESEARCH Store」全店で試験導入
今回の「声かけ不要バッグ」サービスは、2017年5月19日から「URBAN RESEARCH Store」全店などで試験的に導入された。バッグは売り場の入り口部分で配布され、店員はこれを持っている客には声かけを実施しない。もちろん、客の方から店員に声を掛けるのは自由だ。
いったいなぜ、こうした一風変わったサービスを実施したのか。このバッグを考案したアーバンリサーチの担当者は5月29日のJ-CASTニュースの取材に対し、次のように話す。
「お客様へのアンケートで、『買い物中は放っておいてほしい』『店員に追いかけられているような気分になった』など、スタッフの声かけを嫌がる回答が目立ちました。そう考えるお客様のニーズに応えるため、一度試験的に導入してみようと考えました」
また、試験導入をスタートした「URBAN RESEARCH Store」は大型店がほとんどで、店員よりも買い物客の方が「はるかに人数が多い」場合がほとんどだという。そのため、担当者は、
「お客様のニーズを可視化することで、店のスタッフも効率的にお客様にお声掛けすることができます。そういう意味では、声かけを望むお客様へのサービスを向上することにもつながります」
とも話していた。
また、この担当者は、買い物客が接客スタイルを選べる今回のサービスについて、
「アパレル業界では、おそらく初の試みになると思います」
とも話していた。
「お客様によって受け止め方が異なるようで...」
買い物客の反応はどうなのだろうか。担当者は「まだサービスを始めたばかりですが」と前置きしつつも、「『待っていました』といった絶賛の声もあれば、逆に批判的な意見もあり、お客様によって受け止め方が異なるようです」としていた。
実際、ツイッターやネット掲示板に寄せられた声を見ても、今回の「声かけ不要」サービスへの賛否は大きく別れている。
「これ助かる」
「自分のペースで見たいと思ってるのに、店員に声かけられるの本当に嫌だから、他のお店にも広がって欲しい」
「全ての店で導入してくれ」
とサービスを好意的に受けとる向きもあれば、一方で、
「たしかに声かけ不要なことも多いけどなんとなく寂しい気もする」
「わざわざ客に意思表示させるのかよ」
などと導入に否定的な意見も目立つ。なかには、「逆に声かけ必要バックを用意すれば良いと思う」といった声も見られた。
アーバンリサーチの担当者は今後の展開について、「まだ試験段階ですので、お客様の反応を見つつ、サービスを継続するかどうかを検討していきたい」としている。そのほか、外国人利用客へのサービス向上の一環として、このバッグを活用する方法も検討しているそうだ。