アニメ監督・宮崎駿さんの発言として紹介した4つが、ネット上の「創作ネタ」だった――2017年5月28日放送「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、そんな事態が発覚した。
フジテレビは29日、公式サイトでミスを認め、「真偽を確認しないまま放送に至り、宮崎駿氏並びに関係者の皆様、視聴者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪コメントを発表した。J-CASTニュースでも過去に1つの創作発言を宮崎監督のものとして紹介していたことがわかり、削除・訂正した。
作ったツイッターユーザーが「訂正」求める
28日の番組では、長編作品からの引退を公言していた宮崎監督が、これを撤回して新作の製作に取りかかった、との話題が取り上げられた。
宮崎監督は「もののけ姫」(1997年)の製作後など、作品完成後にたびたび「引退」をほのめかす発言をしつつ、しばらくすると再び新作を手掛ける、ということを何度か繰り返している。そのため、今回の引退撤回も、ファンの間ではある種の「伝統芸」として話題になっていた。
番組では、その経緯を説明すべく、宮崎監督のこれまでの発言だとして、「宮崎駿 引退宣言集」なるフリップを用意した。1986年の「天空の城ラピュタ」以来の7作品について、
「人生で最高に引退したい気分」(ラピュタ)
「ここ数年で最高に辞めどき」(ハウルの動く城)
といった、宮崎監督の「引退宣言」とされるものが列記、スタジオは爆笑に包まれ、ダウンタウンの松本人志さんも、「不死鳥やな」と大笑いした。
ところがこの「引退宣言」のうちいくつかが、ツイッターであるユーザーが2013年に「創作」したものであることを、放送直後に別のユーザーがツイッターで指摘し、一気に拡散した。「創作」された発言は5つあったが、ワイドナショーで紹介された7つの発言のうち、3つがこのユーザーの2013年に投稿した「創作」と完全に一致、もう1つも一部一致していた。
創作したユーザーも28日、ツイッターで投稿が「ネタツイート」であるとあらためて説明し、フジテレビに対し訂正を求めたことを明かしている。
スタジオジブリ「真偽について特にコメントはないです」
J-CASTニュース編集部は29日14時ごろ、宮崎監督が所属するスタジオジブリに電話取材した。広報担当者は、「(「引退宣言」は)個人の方がまとめられたもので、その真偽について特にコメントはないですし、『ワイドナショー』での取り上げられ方についても、特に申し上げることはございません」とする一方、フジテレビからの連絡は、番組の放送前・放送後も含め、この時点では特にない、とした。
フジテレビは29日夕方、「ワイドナショー」の公式サイトに、
「2017年5月28日(日)10:00~11:15放送の『ワイドナショー」において「宮崎駿『引退撤回』新作長編アニメ始動!」という内容を放送いたしました。
その中で宮崎駿氏の過去の引退に関わる発言としてフリップで紹介した内容が、実際には宮崎駿氏の発言ではなかったことが分かりました。
真偽を確認しないまま放送に至り、宮崎駿氏並びに関係者の皆様、視聴者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」
とのコメントが掲載された。J-CASTニュースでは、宮崎監督や元ネタの投稿者に対し、直接の謝罪、連絡などを行ったか尋ねたが、「回答は控えさせていただきます」とのことだった。
(編集部注)J-CASTニュースでも、宮崎監督の引退撤回に関する記事(宮崎駿監督の「引退宣言」は本当なのか ネットでは「これで何度目?」「引退後の新作楽しみ」/宮崎駿監督、「伝統芸」の引退撤回 検索候補に「勘弁してください」)で、宮崎駿監督のコメントとして紹介したもののうちのひとつが、本人のものではないことがわかりました。過去の記事を訂正し、お詫びいたします。