もうビールっ腹とは言わせない? キリングループのキリン健康技術研究所は2017年5月24日、ビールの原料である熟成ホップの成分に体脂肪を減らす効果があることを世界で初めて突きとめたと発表した。
研究成果は、同年5月14日~18日に開かれた第36回ヨーロッパ醸造学会で報告した。同社では飲んでも太りにくいビールの製造を目指したいという。
12週間飲み続けると内臓脂肪面積が減った
キリンの発表資料などによると、この成分はホップを熟成させることによって生まれる「熟成ホップ由来苦味酸」だ。ビールに独特の香りと苦みをもたらすホップは、原料として1000年以上使われてきた。実はキリンは、以前の研究でホップの苦み成分である「イソα酸」に体脂肪燃焼効果やアルツハイマー病の予防効果があることを発見している。しかし、「イソα酸」は苦味が強すぎて、体脂肪を減らす効果が出るほどビールに加えると、とても飲めたものではなかった。
そこで、ホップを熟成させると穏やかで厚みのある苦味になり、ビールにも使えることがわかり、これを「熟成ホップ由来苦味酸」と名づけた。成人男女200人を2つのグループに分け、「熟成ホップ由来苦味酸」を含む飲料を飲むグループと、プラセボ(偽飲料)を飲むグループに分け、12週間毎日飲み続けてもらった。終了後に内臓脂肪面積をCTスキャンで測定した。熟成ホップエキスのグループは、平均で約10平方センチメートル減、プラセボのグループは約3センチ平方メートル減だった。
「熟成ホップ由来苦味酸」は量産が可能で、同社ではビールのほかにも様々な飲料に展開したいとしている。