発達障害の人が見る・聞く驚きの世界 最新科学と当事者が明かす向き合う方法(前編)

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発達障害の人の買い物に「クワイエットアワー」

   どうしてこんな症状が起こるのか。番組スタッフは英国へ飛んだ。発達障害研究の第一人者、ロンドン大学のフランチェスカ・ハッペ教授がこう解説した。

「脳が出す指令と関係しています。多くの人は周囲の音を聞き続けると次第に気にならなくなります。『慣れ』が生じるからです。脳の司令塔が指示を出し、不要な音が聞こえる音量のレベルを下げ、聞きたい音だけが聞こえるようにします。ところが、自閉スペクトラム症の人は司令塔がうまく働かず、すべての音が高いレベルのままに聞こえるのです。台所で食器を洗う音は誰も気をの留めなくなりますが、自閉スペクトラム症の人にとっては常に新しい、大きな音に聞こえます。だから、話し相手に注意を向けられないのです。彼らにとって、世界はあまりに情報(光、音...)が多すぎて、脳が混乱状態に陥っているのです」

   だから、自閉スペクトラム症をはじめ発達障害の人は、なかなか外に出たがらない。そんな人々に向けた取り組みが英国各地で始まっている。ロンドンのあちこちの商店街では、週に1度、各店が一斉に店内の音や照明を1~2時間消す試みが行なわれている。「クワイエットアワー」(静かな時間)と呼ばれる。発達障害の人がショッピングをしやすくするのだ。これは店側にとっても利益になる。暗い店の中で、あるスーパー店主はこう語った。

「クワイエットアワーの日は、ほかの日より1割売り上げが伸びます」
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