音の洪水で、目の前の有働アナが「口パク」に見える
このように、感覚に過敏なのが自閉スペクトラム症の特徴だ。光だけでなく、音、味、触覚、すべてに対して――。有働アナは、自閉スペクトラム症の定時制高校3年生・素子さん(18)の自宅を訪ねた。昼間というのに部屋中のカーテンを閉め切って、薄暗い。
素子さん「この暗さが楽です。開けるとまぶしくてツライです」
素子さんと有働アナは外に出て、スーパーに入った。「店内に色々な音が響いている」と素子さんは言い、商品の陳列台や床、天井を指さした。「えっ、何が聞こえるの? まったく聞こえないけど」と有働アナは周囲に耳をそばだてる。
素子さん「キーン、シャー、ゴーという音です。天井の蛍光灯や陳列台の奥の冷蔵庫の音です。音の洪水で疲れます。店の中にいるのは15分と持ちません」
次に2人は喫茶店に入った。数人のママ友たちのお喋りでざわついている。2人は会話を始めたが、素子さんは辛そうな表情。ここで番組は、素子さんの視点から見た、そして聞えた有働アナとの会話をVTR映像で再現した。「素子さん、私の話が聞こえますか?」という有働アナの声と、後ろの方の座席にいるママたちのお喋りの声が同じ大きさに聞こえる。また、外からゴー、ゴーという自動車の音が響いてくる。店内のBGMの音楽もやかましい。このため、目の前の有働アナが口パクをしているように見える。何か喋っているのだが、内容が全然聞こえてこない。