前次官「出会い系バー」、新聞の扱いに違い 読売は突出して批判的

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   安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)に関連する「文書」について、文部科学省・前事務次官の前川喜平氏(62)が2017年5月25日、記者会見などで「本物」だとの見方を示した。

   会見でクローズアップされた論点のひとつが、「出会い系バー通い」の問題だ。前川氏はバー通いの事実を認める一方で、その目的を「ある意味、実地の視察。調査という意味合いもあった」と釈明。政府は、「文書」の信ぴょう性を引き続き否定しながら、「『調査』だったら1回や2回ではないのか」などと、前川氏の発言の信ぴょう性についても攻撃を強めている。

  • 菅義偉官房長官は文部科学省・前事務次官の前川喜平氏への攻撃を強めている
    菅義偉官房長官は文部科学省・前事務次官の前川喜平氏への攻撃を強めている
  • 菅義偉官房長官は文部科学省・前事務次官の前川喜平氏への攻撃を強めている

「国家権力を使って、あんな報道記事を書かせるような恐怖政治」

   前川氏の「出会い系バー通い」は、読売新聞が2017年5月22日の朝刊で初めて報じた。この記事に政治的意図があったと考える人も多い。民進党の桜井充参院議員は5月26日の農水委員会で、

「(前川氏は)本当に勇気ある発言をされたと思う。本来ならば公益通報者保護制度で守られるべき人だと私は思うが、国家権力を使ってですよ、あんな報道記事を書かせるような恐怖政治ですよ。こんな人たちが共謀罪成立させたらどうなりますか?北朝鮮以下だと私は思いますけどね」

と発言。議場からは「おそろしいよ!」という声もあがった。

   読売新聞OBのジャーナリスト、大谷昭宏氏も5月26日放送の情報番組「ひるおび!」(TBS)で、東京・大阪・西部の3本社で同様の見出しや大きさで報じられるのは珍しいとして、

「読売新聞は当然否定するだろうが、我々から見ると、この扱いは、明らかに『訳あり』」

だと指摘した。

読売は「言い訳としてはあまりにもお粗末」の識者コメント

   「出会い系バー」をめぐる記者会見での発言は各紙が報じたが、初報した読売新聞は、特に力を入れて報じた。5月26日朝刊の社会面で「出会い系バー通い『実地調査』」という4段見出し(東京最終版、以下同)で、前川氏の発言を報じる中で、店の関係者の話として

「前川氏は約2年前から頻繁に通い、女性の値段の交渉をして、店外に連れ出したこともあったが、昨年末頃から急に来店しなくなったという」

と指摘。さらに、

「行政の立場として調査をするなら、係長クラスが実態調査をすればいい話。次官一人で行くのはあり得ない。言い訳としてはあまりにもお粗末で、めちゃくちゃだ」

という教育評論家のコメントを、「言い訳 お粗末」とのベタ見出しつきで報じた。他社では、産経は囲み記事にしたが、内容は事実関係を淡々と伝えた。毎日は、3段見出しを立てたが、「個人的行動なぜ報道」と、読売の初報への違和感を前面に出した。朝日は、質疑の該当部分に触れたり、ベタ見出しで「『出会い系バー』 出入り把握せず 官房長官」と伝えたりした程度だった。

   前川氏は記者会見の中で、事務次官在職中に杉田和博・官房副長官から「出会い系バー」通いを注意されたことを明かしている。菅義偉官房長官は、前川氏の記者会見の発言を機に杉田氏から説明を受け、事態を把握したと主張。5月26日午前の会見では、前川氏が店舗で女性に小遣いを渡していたことを

「ここはさすがに強い違和感を覚えたし、多くの方もそうだったのではないか」
「常識的に言って、教育行政の最高責任者がそうした店に出入りして、小遣いを渡すようなことは到底考えられない」

と非難。午後の会見でも、

「調査だったら1回や2回じゃないですか?」
「ああいうところに、そういうことで調査に行くんでしょうか、常識的に」

と追い打ちをかけた。

   政府としては、「出会い系バー」をめぐる攻撃を展開することで、「文書は『本物』」だとする前川氏の発言全体の信ぴょう性を低く見せる狙いがあるとみられる。野党は前川氏の証人喚問を求めているが、自民党は拒否している。

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