根保証に「極度額」 新たに保証人の保護規定盛り込む
これまで裁判でもめるケースが多くみられた賃貸借の敷金の返還では、今回の改正で敷金を返還すべき要件や時期が法令で明文化された。たとえば、アパートの部屋を借りた人が、通常の暮らしによって生じた部屋の損耗や経年変化の原状回復にかかる義務を負わないことになった。
現行、契約書で利率を定めない場合に適用される年5%の法定利率は「年3%」に変更。さらに、3年ごとに1%刻みで見直される変動型に見直した。あわせて、年6%とされる商事法定利率(商行為による債権に適用される、商法上の利率)を削除した。
また、これまで他人の保証人になったばかりに借金を背負わされるケースが少なくなかったことから、改正債権法では「保証人保護」のための規定を設けた。
事業のための借入れ時に個人が保証人となる場合、経営者(役員や共同事業者、事業に従事する配偶者など)以外の保証については、保証人が契約締結前1か月以内に作成した「公正証書」で保証の意思を表示しなければ、保証は無効となるほか、保証人に対する情報提供義務(契約締結時、債務の履行状況など)を明文化した。
個人の根保証(保証債務の金額が不確定なもの)は種類を問わず、一律に保証の上限額(極度額)を定めないと無効となる。
西村あさひ法律事務所の高木弘明弁護士は、「今回の民法改正には、インターネット取引や保険に関する約款の規定など、中小企業を含めた事業者の対応が必要になる項目が含まれています。施行までまだ時間はありますが、早めの対応が必要です。」と話している。
改正債権法は、公布3年後までに施行される。