大ヒットした「うんこ漢字ドリル」の出版社が「うんこ」を商標登録申請していたことが話題となっている。こんな排せつ物の名前でも、登録は通るものなのだろうか。
特許情報プラットフォームで、「うんこ」の商標を検索すると、2つの登録情報が出てくる。
被服や履物などの区分で「うんこ」を商標登録
1つは、「うんこ漢字ドリル」を手がける出版社「文響社」だ。2017年2月23日に印刷物などの区分で出願され、5月23日現在で審査中になっている。文響社は、「うんこ先生」でも出願している。通常、4~6か月で結果が出るため、今夏には通ったか分かりそうだ。
そして、もう1つは、横浜市内の小売業者が16年9月30日に出願したものだ。これは、審査が通って17年3月17日に商標登録していた。「unco」でも登録されており、区分は、被服や履物などだ。この業者のホームページをみると、「うんこ」などの言葉を使って様々なグッズを販売しているようだ。
ネット上の情報サイトなどでは、排せつに関わるものとして、このほか「うんち/どっさり」「チンチン」も商標登録されていると指摘があった。
「うんち」自体は登録されていないが、「うんち/どっさり」は、ゼリア新薬工業が2004年に薬剤の区分などで登録している。便秘薬を売るためのキャッチコピーとして使っていた模様だが、同社によると、現在はもう使っていないという。
「チンチン」については、大塚化学が1991年に菓子などの区分で登録している。現在はグループ会社の大塚食品が売っている冷凍食品のフライドポテト「マイクロマジック」が「レンジでチンチン」というキャッチコピーで売っているのに合わせたものとみられる。
印刷物の区分でも出願中
ネット上では、なぜ排せつ物に関わる名前でも商標登録されるのかといった疑問が出ているが、特許庁の商標課は2017年5月23日、J-CASTニュースの取材に対してこう説明した。
「ビッチといった差別的な表現は通らないことがありますが、うんこなどは、公序良俗に反しておらず、商標法の第4条に抵触していないと判断されたということです。また、漢字ドリルといったその業界で一般名詞とされるものや、ほかの会社のロゴなどと似ているものはダメですが、こうした制限に該当しなければ認められることになります」
今回、文響社が出願した「うんこ」などについては、弁理士の栗原潔さんは、ヤフーニュースへの22日の寄稿で商標登録の見通しについてコメントしている。
それによると、すでに「うんこ」が登録されているため、公序良俗の問題は発生しないという。また、登録された被服などの区分の出願ではないため、審査に影響を与えることもないとした。本の題名は商標とは見なされないが、定期刊行物やシリーズものなら登録は可能としている。