夏を快適に過ごすためには、紫外線(UV)対策も欠かせない。だが、「目」に対する気くばりはあまり行き届いていないようだ。
紫外線は目にも悪影響があり、老眼を促進したり、水晶体が白く濁って視力が低下する「白内障」の一因になるなど、目の老化を助長する可能性があるという。
対策が出来ている人は1割強
1年のうち、5月ごろから8月ごろにかけて紫外線が強まる季節。気象庁によれば、紫外線量は7月と8月に最も多い。
夏にビーチなどで日光を浴びると紫外線により、肌がサンバーン(赤い日焼け)やサンタン(黒い日焼け=皮膚に色素沈着が起きたもの)といわれる日焼け状態となり、その影響は分かりやすい。
近年では、日焼けが加齢にともないシワやシミの原因になっている可能性が知られるようになり、とくに女性にとって紫外線対策は季節を問わず欠かせないケアになっている。
紫外線に注意を促している行政の保健当局では、皮膚や肌への影響とならんで目に対するケアの重要性にも触れているのだが、それほど重視されていないのが実情のようだ。
参天製薬が「目の紫外線対策」をテーマに20~40代の女性500人を対象に行った意識・実態調査によると、「紫外線が気になる」と答えた人は84%にのぼる一方、目の対策が出来ている人は1割強だった。
「何をすればよいか分からない」
同社の調査は17年3月13日~16日の間、インターネットを通じて行われ、対象の500人は年代別に均等に割り付けられた。
ふだんの紫外線対策についても聞いたところ「1年中している」が37%、「時季に合わせてしている」が51%で、これらを合わせれば、時季によっては9割近くが何らかの紫外線対策をおこなっていることになる。
対策の部位について複数回答で聞いたところ、「顔」が98%で圧倒的に多く、「体」も55%。だが「目」という回答は13%にとどまった。目の紫外線対策をしていない理由は、54%が「何をすればよいか分からないから」を挙げ1位だった。
また「目が紫外線の影響を受けることを知っていいたか?」の問いには82%が「知っていた」と答えた一方、「長時間、強い紫外線を浴びると、目の病気の原因になり得ることを知っていたか?」には「知っていた」は46%と、少数派となり、影響があるのは知っていたが病気とまでは...というのが実状のようだ。
サングラス、日傘、角膜ダメージ修復する目薬を
横浜市衛生研究所はウェブサイトで「紫外線と皮膚・眼について」というセクションを設け、紫外線による目への影響として「白内障」「紫外線角膜炎」「翼状片」をあげる。緯度が低く赤道に近く日光が多い場所ほど白内障は多いという。同研究所では「紫外線を99%以上遮断するサングラス」の着用や、帽子や日傘の使用を呼び掛けている。
東京・中目黒眼科の杉本由佳院長は、参天製薬の「目の紫外線対策」の調査のコメンテーターとして「紫外線は肌や髪だけでなく、目にもさまざまなリスクの要因になり得ます。具体的には、紫外線により活性酸素が過剰に発生することで白目が黄ばんだり、角膜が傷ついて充血やヒリつく痛みの原因になったりするほか、目の病気につながることも」として、視界がゆがんで見えたり、部分的に暗く欠損したりする「黄斑変性症」や、白目の部分が隆起し、黄色く変色している「瞼裂斑(けんれつはん)」などを例に挙げた。
杉本院長によると、最近では紫外線が「糖化」につながることがわかってきており、このことが老眼を促進したり、目の老化を助長する原因になるという。目の紫外線対策としては、サングラスなどのほか、角膜ダメージを修復する機能のある目薬によるケアをあげる。「角膜の組織代謝を促進してダメージ修復をうながす活性型ビタミンB2や、角膜にうるおいを与えて保護するコンドロイチンなどの成分が含まれている目薬」がよいという。