戦時中、東京近郊を舞台にした女子挺身隊をめぐるAV作品について、慰安婦を題材にしているとして、韓国のネット上で非難を浴びていると韓国大手紙が報じた。
挺身隊を慰安婦と同一視したものだが、日本では別の存在とされるだけに波紋が広がっている。
中央日報「韓国のネット上で激しい非難」
この作品は、「昭和女のエレジー」というシリーズもので、AV販売会社のソフト・オン・デマンドのグループ会社になるヒビノが制作した。
戦争末期の夏に東京近郊の軍需工場で、勤労動員される挺身隊になった女性3人が軍人たちから機密書類を盗んだと疑われて性的な凌辱を受けるというストーリーだ。2017年6月1日の発売予定で、すでにアマゾンなどで予約を受け付けている。
これに対し、韓国3大紙の1つ「中央日報」が、韓国語のウェブ記事で5月22日、作品パッケージのぼかし写真を付けて、「日本軍慰安婦を題材にした成人向けコンテンツが制作され、波紋が広がっている」と報じた。
記事では、「挺身隊は、太平洋戦争時に、日本が戦争遂行のために、女性を強制的に動員した従軍慰安婦と勤労挺身隊を通称する言葉だ」と主張し、韓国のネット上で激しい非難を浴びていると指摘した。この情報を伝えた韓国のブロガーは、登場人物は日本の女性に設定されているとしながらも、「このような敏感な素材で成人向けコンテンツを作成しなくてもいいと思う」と批判したという。
実際、韓国では、元慰安婦の女性を支援している市民団体が「挺身隊」を団体名に付けるなどしており、女子挺身隊は慰安婦を含むものとの認識が広がっているとされる。
日本のネットでは「慰安婦関係ないやん」
一方、日本では、女子挺身隊は、あくまでも軍需工場に動員された女性を指すもので、挺身隊を慰安婦と同一視することは言葉を混同しているとされている。
それだけに、中央日報の記事については、日本のネット掲示板などで「慰安婦関係ないやん」「日本人女性の設定だろうと思うけど、それでもダメなのか?」「韓国人がいきり立つ理由がわからない」などと疑問の声が上がっていた。
とはいえ、報道を受けて、韓国のネット上では、「狂気の日本」「衝撃的だ。国で告訴したらいい」といった声が書き込まれている。今後、AV作品の発売について、何か影響を受けることはあるのだろうか。
ソフト・オン・デマンドでは5月24日、J-CASTニュースの取材に対し、「こちらは作品の流通を行っており、メーカー側に聞いてほしい」と答えた。ただ、関係者によると、発売の中止などは聞いていないという。メーカーのヒビノに取材したが、この日夕までには回答が得られなかった。
業界団体の知的財産振興協会では、「作品の内容については、特段コメントすることはありません」と取材に話した。映像審査を行っている映像倫理機構でも、「発売前の作品については、コメントは控えさせて下さい」と答えた。