「傍観者から当事者へ」
柏市では、いじめ防止基本方針の改訂から3年目を迎える2017年、「いじめ傍観者」にならないことに視点を当てた指導に力を入れている。アプリはいじめの「抑止力」として期待しており、同時にいじめが起きる雰囲気をつくらないようにする教育も行う。担当者は「教育現場ではクラスがいじめ問題に敏感かどうかといった雰囲気次第で、いじめが悪化することもあれば解決しやすくなることもあります」と話す。
専用の動画教材「私たちの選択肢」を使った授業を実施しており、アプリ「STOPit」の使い方の説明もこの授業内で行っているという。動画は、さまざまな学校教材制作に取り組む藤川大祐・千葉大学教育学部教授の監修のもと、市とストップイットジャパンも協力して制作された。
藤川教授は5月23日、J-CASTニュースの取材に対し、動画教材では「いじめ傍観者にならず、自分も当事者だという意識を持ってもらえるよう工夫しています」と話す。ストーリー形式になっており、友達がクラス内でいじめをしていると知った主人公が、やめるように声をあげるか否かを悩む。そこで画面が一度暗くなり、「あなたならどうするか」と実際に教室の生徒たちに問いかける。「動画を見ていた生徒たちが、いきなりその動画内のいじめについて自分で考えることになります。傍観者から当事者へという状況になり、深く議論することになります」と藤川教授は話す。
「ここ3~4年で、若い世代のスマホ普及率が急速に上がってきました。グループチャット機能を持つ通信アプリの影響もあり、周囲が感知できない閉じられた空間でのいじめも少なくありません。子どもたち自身がアクションを起こさないと発覚すらしない問題もあるでしょう。それを放置しないためには『脱・いじめ傍観者』に向けた取組みが重要と考えます。アプリは、生徒が声をあげやすくなる手段の1つになり得るでしょう」