【名医のTHE太鼓判4】(TBS系)2017年5月22日放送
「人間ドックビフォーアフター」
お笑いコンビ「FUJIWARA」の藤本敏史さん(46)が、衝撃のあまり身動きできなくなった。「余命9年」の宣告。番組で行われた検査で、心臓の左冠動脈の付け根に動脈硬化が見つかった。ここが詰まると突然死の恐れがあるという。
医師たちが指摘したのは、藤本さんの「悪玉コレステロール」の数値が異常に高い点だ。生活習慣が大きくかかわっていた。
日本人は油のとりすぎだった
日本動脈硬化学会によると、悪玉コレステロールが140mg/dl以上だと脂質異常症が疑われ、動脈硬化から狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まる。
藤本さんの数値は、217mg/dlだった。医師たちも驚きだ。番組は、藤本さんの日常生活をチェックした。
まず食事。妻でタレントの木下優樹菜さん(29)は、朝夕に手料理を振る舞っている。朝食は魚料理に五穀米、夕食は野菜が中心と健康的な献立だ。ところが、自宅を離れているときが「落とし穴」だった。カメラが、楽屋でくつろく藤本さんを映す。チョコレート菓子や揚げせんべいを次々と口に入れ、昼食では幕の内弁当を食べながら横に置かれていたから揚げ弁当もつまんでいた。
移動はタクシーで、ほとんど歩かない。楽屋でもスタジオでも座る時間が圧倒的に長く、起きて活動していた17時間中15時間も座っていた。内科医の森田豊氏は、生活習慣病のリスクとして座りっぱなし生活が注目されていると話した。脂っこい食事に運動ゼロの日常で、血管の中でも太くて非常に重要な冠動脈が悲鳴を上げ始めていたのだ。
生活改善のポイントとして、植物油研究家の林裕之氏が指摘したのは油の摂取。なかでも「オメガ6」を注意するよう促した。一般的な食用油に含まれ、体に必要ではあるが過剰摂取は禁物なのだ。厚生労働省によると、1日の摂取量の目安は9グラムだが、日本人の平均摂取量は36グラムと大幅に上回っている。藤本さんの場合はさらに多く、番組が調べた日は77グラムもとっていた。
対策は、まず揚げ物を中心に加熱した植物油を控える。次に、エゴマ油や亜麻仁油、魚のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に含まれる「オメガ3」を積極的にとる。中性脂肪を抑え血流の改善が期待できる成分だ。藤本さんは仕事場に、オメガ3が含まれるサバの缶詰を持ち込んで食べるようにした。
正しい枕を使って「無呼吸」改善へ
座りっぱなし防止には、掃除や洗濯など運動以外で消費するエネルギーを増やす。早速藤本さんは、自宅で食器洗いだ。
夫の余命が9年と聞いた妻・優樹菜さんは「ふざけるなよ、いい加減にして」となぜか激怒し、「まだローンが33年で...」と続けた。実は家でも心配ごとがあったと打ち明ける。
「寝てるとき、呼吸が止まるんですよね。結構長めに...」
そこで、藤本さんが自宅で睡眠中を撮影した。大きないびきをかいて眠るが、寝始めてから3時間すると、突然15秒間呼吸がストップした。さらにその後、今度は25秒も止まった。こうした無呼吸は、ひと晩で6回を数えた。
これは、軽度の睡眠時無呼吸症候群だという。もし1時間で無呼吸が20回を数えたら、5年後の死亡率は16%、8年後には40%になるという。さらに健康な人と比べて、夜間の突然死リスクが2.6倍に達するのだ。
無呼吸を解消するために、整形外科医の山田朱織氏が「正しい枕」指南をした。山田氏は「枕専門外来」を開設している。枕の高さが変わると無呼吸やいびきの状態が変わり、その高さを維持できる硬さも重要だと話した。藤本さんが使っていた枕は柔らかく、首が沈み込んで呼吸がつらそうだった。早速枕を変えた。
こうした努力の結果、2回目の検査で悪玉コレステロール値が217mg/dlから129mg/dlへと大幅に改善し、余命は9年から30年に延びた。