規模は大きいが、利益率は普通
トヨタの販売は米国、日本という成熟市場が中心。米国では景気拡大を背景に、米ゼネラルモータースGM(など)が得意とする大型車が売れており、セダンが強みのトヨタは分が悪い。世界最大の市場である中国では、独フォルクスワーゲン(VW)やGMに大きく水をあけられている。その他の地域では「柱」と言うほどには育ってはいない。量の伸びが見込めない以上、質を高める必要がある。それが「賢いクルマづくり」というわけだ。
すぐには収益を生まない「将来への投資」も必要不可欠だ。業界の垣根を越えて競争・協業が続きそうな自動運転や、電気自動車(EV)、水素を使った燃料電池車(FCV)といった次世代エコカーに取り組んでいないと、業界内でのポジションが危うくなる。
これらを加味して2018年3月期の連結業績予想をはじいたところ、売上高は前期比0.4%減の27兆5000億円、営業利益は19.8%減の1兆6000億円、純利益は18.1%減の1兆5000億円となった。2016年3月期に10%を超えていた営業利益率は5.8%に落ち込む。規模は大きいが、利益率は普通――というのがトヨタの現状だ。
このままではまずい。量も質も追求したい。そんな経営者としての当然の思いが、危機意識あふれる章男社長の発言を生み出している。